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艦これブーム、他業界に大きな経済効果?プラモに出版、新たな「ミリタリー」ファン層拡大

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「艦隊これくしょん -艦これ―」(「DMMオンラインゲーム公式ページ」より)
 軍艦を美少女に擬人化した斬新なゲーム性で話題をさらったブラウザゲーム「艦隊これくしょん -艦これ―」(角川ゲームス/以下、艦これ)が、4月には利用者数185万人を突破。しかも、新規登録待ちのユーザー数が数十万人という快進撃で、現在、艦これはゲーム業界で大きなブームとなっている。

 軍艦というちょっと取っつきにくい分野に萌え要素を加えることにより、今までミリタリーものに興味がなかった層にまで親しまれ、その影響はゲームのみならず、他業界にも及んでいるようだ。

 プラモデル類も多く取り揃える全国展開の総合ホビーショップチェーン「Tam Tam」の中で、最大の売り場面積を誇る相模原店のプラモデル担当主任・今井氏は、艦これの影響をこう語る。

「艦これゲームの提供が開始されたのは昨年4月ですが、軍艦関係のプラモデルの売り上げが伸び始めたのが9月くらいからで、前年比2倍ほどに上昇しています。今まではこれらの商品の購買層の高齢化が進んでいて、業界でも問題視されていたのですが、艦これの影響で10~20代の今まで軍艦プラモデルに馴染みのなかった世代のお客様が、購入されていくといった現象が起きています」

●戦車ブームに続く軍艦ブーム

 これは、美少女たちが嗜みとして戦車を運用するというストーリー設定のテレビアニメ『ガールズ&パンツァー』(テレビ東京系ほか)が盛り上がり、戦車のプラモデルの売り上げが上昇した当時と似たような状況にあるという。

「戦車のプラモデルは、キャタピラ部分を作成するのが非常に難しく、初心者向けではなかったのですが、軍艦でしたら今までプラモデルをつくったことのない方でも根気さえあればつくることができます。しかも、昨年の秋くらいから各プラモデルメーカーさんが、艦これ用のパッケージで軍艦プラモデルの販売を開始しましたので、新規のお客様はより手に取りやすくなったかと思います。さらに同作品のパズルやストラップなどのグッズを買い求める女性もいて、軍艦に興味を持つお客様の層は確実に増えているといえますね」(今井氏)

●艦これの影響で品切れ状態の軍艦雑誌も

 艦これブームの恩恵はプラモデル業界だけでなく、関連雑誌や書籍の売り上げにも大きな効果をもたらしている。「軍艦メカ」シリーズなど軍事雑誌を中心に出版する潮書房光人社の営業部は、その影響を次のように語る。

「軍艦、特に空母を取り扱った雑誌は、それらのブーム以前に比べると、だいたい1.5倍ほど売り上げが伸びていて、品切れ状態となっている雑誌もあります。弊社で定期発刊している刊行物でも、やはり人気があるので軍艦の特集が最近は多くなっています。

 映画『永遠の0』(東宝)のヒットもありますが、特に艦これの影響は大きいでしょう。ここ数カ月は『アニメイト』や『メロンブックス』などの、アニメ、ゲーム文化に強い書店への問い合わせが増えて、そちらの分野に商品展開することが多くなっているのが、そのいい例かもしれません」

 今まで愛好する人が限定されていたミリタリーというジャンルも、強い探究心と購買意欲を持つアニメ、ゲーム好きを取り込むことに成功し、愛好家の層を広げている。萌え文化は、こういった少しニッチな分野に日の光を当てることに、もしかしたら一役買っているのかもしれない。
(文=武松佑季/A4studio)