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厚生労働省は、将来世代の基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする方策の検討を始める。財政が比較的安定している厚生年金の積立金と国費を投じることで、現行水準より3割増える見通しだ。近く本格的な議論に入り、2025年の通常国会に提出する年金制度改革の関連法案に盛り込む。
公的年金は、少子高齢化により保険料を納める現役世代が減少する中でも制度を保てるよう、「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みで年金の給付水準を少しずつ抑えている。
過去30年と同様の経済状況が続いた場合、厚生年金は26年度でマクロ経済スライドが終了する。一方、財政が脆弱(ぜいじゃく)な基礎年金は57年度まで年金額の目減りが続き、65歳時点の基礎年金の受給額は現在より3割低くなる。現在40~50代で基礎年金しか受け取れない自営業者らを中心に、老後生活が困窮する可能性がある。
厚生年金の積立金や国費を充てると、給付水準が現行より3割改善するのに加え、基礎年金の給付抑制期間を21年短縮することができる。
基礎年金の財源の半分は国費を充てている。給付水準の改善に伴い、国庫負担が最大年2兆6000億円増える見込みだ。安定財源の確保には将来的な増税を検討する必要があり、政府内や与野党間の協議は難航が予想される。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/11/18-14:35)
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