内閣府が15日発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で0.9%増だった。個人消費の回復が続き、2四半期連続のプラス成長となった。
赤沢亮正経済財政担当相は記者会見で「雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな成長が続いている」と指摘。成長型経済への移行に向けて「策定中の経済対策も含め、政策運営に万全を期す」と強調した。
内需の柱である個人消費は前期比0.9%増と2期連続のプラス。認証不正による生産停止の影響が縮小した自動車購入が伸び、携帯電話新機種の売れ行きも堅調だった。台風や南海トラフ地震「臨時情報(巨大地震注意)」の発出を受け、備蓄のためのパックご飯や清涼飲料水などの購入も増えた。
設備投資は0.2%減と2期ぶりに減少。工場建設関連の支出が減り、生産用機械や業務用機械向け投資も不振だった。
輸出はアルミや銅などの金属製品や半導体関連が伸び0.4%増。ただ、景気が足踏み状態にある中国向け輸出が低調だったほか、統計上輸出に計上されるインバウンド(訪日客)消費も訪日客数の増加一服で落ち込み、4~6月期から伸び率は低下した。輸入は医薬品や携帯電話機なども伸び、2.1%増加した。
GDPの増減に与える影響(寄与度)は内需がプラス0.6%と2期連続プラス、外需はマイナス0.4%で3期連続のマイナスだった。
物価変動の影響を反映し、生活実感gdpは前期比0.5%増、年率2.1%増。名目GDPの実額は年換算で610兆8802億円と、2期連続で600兆円を突破、過去最大となった。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「民間消費の回復傾向が若干強まった」と指摘。今後は、この傾向が持続する可能性がある一方、中国経済の低迷などから輸出は伸び悩み「緩慢な成長が続く」と予想した。
◇7~9月期のGDP速報値
◇実質成長率 0.2 年率 0.9
◇寄与度 内需 0.6 外需 ▲ 0.4
◇主要項目 増加率 寄与度
個人消費 0.9 0.5
住宅投資 ▲ 0.1 ▲ 0.0
設備投資 ▲ 0.2 ▲ 0.0
民間在庫 ― 0.1
公共投資 ▲ 0.9 ▲ 0.0
輸出 0.4 0.1
輸入 2.1 ▲ 0.5
◇名目成長率 0.5 年率 2.1
◇GDPデフレーター 2.5
(注)数字は%。民間在庫は寄与度のみ。GDPデフレーターは前年同期比でその他は前期比。▲はマイナス
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/11/15-15:29)