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男性の育休取得率1.89%、なぜ普及しない?仕事や金銭面での不安大、取得者と企業双方にメリットも

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「Thinkstock」より
 男性が育児休暇を取得する割合は、スウェーデンは78%、ノルウェーでは89%にも上る(2008年厚生労働省レポートより)。しかし、日本に視線を移してみると、12年度で1.89%と惨憺たる状況だ。「イクメン」(育児をする男性)などの言葉が生まれ、男性の育児への関わり方には関心が高まっているように見えるが、なぜ男性の育休取得は普及しないのだろうか? 通信教育大手のユーキャンが、子どもを持つ全国の男性ビジネスパーソン497名を対象として5月に行った調査結果から、その背景を探ってみよう。

●育休を阻む厚い壁

 同調査では、男性が育休を取得することへの評価としては、育休未取得者で取得する意向のない人でも「あまり良いとは思わない」と回答した人は10.7%にとどまっており、好意的にとらえている人が多いことがわかる。では、男性の育休取得普及は遅々として進まないのはなぜか? そこには、心理的な壁が立ちはだかっているようだ。

「男性の育休取得率を上げるための現在の障壁」を聞いたところ、最も高い数値となったのが、「職場の理解が足りない」という回答。また「仕事を引き継げる人がいない」と業務に対する支障を懸念する声や、「出世に響きそう」と将来のキャリアを不安視する声が上がっている。また、会社の都合ばかりではなく、金銭的な面でも不安は多い。「育児休暇中の家計が不安」と回答した人は未取得者のうち56.0%に上っており、収入の減少を危惧する意見もある。

 しかし、今回の調査では、社会保険料の免除や年金額計算の特例など、育休中の各種社会保障制度の優遇措置を知らない人が多数を占めることも明らかになっている。この制度の存在が周知されれば、より多くの人々が安心して育休を取れるようになるのではないだろうか。

●育休が業務を効率化させる

 では、育休がもたらすメリットとはなんだろうか?

 育休取得者は「子育てに積極的に関わろうとする意識」(63.2%)、「家族と過ごす時間を確保しようとする意識」(61.9%)、 「家族への気配りの意識」(61.9%)などと、家族に対する意識が向上したと答えているほか、「職場の周囲の人を気遣う意識」(43.5%)、「業務の効率化に対する意識」(41.7%)など仕事に対する意識が高まったという意見もあり、復職後の業務に対しても好影響を与えている様子が浮かび上がってくる。

 また、育休制度を推進することにより、「企業・組織・団体のイメージが良くなる」と回答した人は、育休取得者のうち58.4%。また、時間の使い方に対する意識の変化から「残業代の抑制」(38.0%)につながるという回答もみられており、育休の推進は、企業のさまざまな面に影響を与えているようだ。

 まだまだ取得率が低く、男性が育休を取りやすい環境とはいいがたいが、女性の社会進出が必須とされている現在、男性による育休取得は不可欠だ。とはいえ、企業としてもデメリットしかない育休制度ならば、その推進に二の足を踏むのは当然のことだろう。ユーキャンが明らかにした育休のポジティブな面を世に広めていくことによって、男性の育休を取り巻く状況が改善されていくことを期待したい。
(文=加茂萩太)