グローバル化が進む今、仕事で外国人と関わることはもう珍しくありません。
もし自分が外国人や外国企業相手にやり取りをすることになったら、どんな準備をしますか? 英語を勉強する? いえいえ、もっと大事なことがあるのです。
『日本人の9割は正しい自己紹介を知らない――世界標準の仕事プロトコールの教科書』(山中俊之/著、祥伝社/刊)は、世界で常識とされているビジネスの通例とルールを教えてくれる一冊です。
本書を読むと、「自己紹介」や「あいさつ」、「商談・交渉」「会食・パーティー」などさまざまな部分で、日本のルールが世界標準とずれていることが分かります。
著者は、外交官を経て独立起業。現在はグローバル人材開発のアドバイザーとして多くの企業で活躍中です。外交やグローバルビジネスに関するエピソードから世界標準を探りましょう。
■会社名ではなく個人の専門性や実績を売り込む
ビジネスシーンでの自己紹介において、ほとんどの日本人は「○○商事の鈴木です」というように、「会社名or所属組織の名前+自分の名前」で自己紹介します。誰もが知っているような有名企業に勤めている人ほど、この傾向は強いのではないでしょうか。
組織への帰属意識が強い日本人らしいともいえるのですが、組織よりも個性や専門性が大事にされることの多い外国人を相手にする時は、パーソナルな情報がより多く入っている自己紹介に変えるべき。でないと、「つまらない人」と思われて、次のアポイントメントがとれません。
「わたしは鈴木健二です。健二と呼んでください。中東やアフリカでの資源開発を長く担当してきた資源・エネルギーのプロです。あっ、会社名ですか? 会社は○○商事です」など、個人の専門分野や実績、人となりがわかる自己紹介にしましょう。会社名は聞かれたら答えるくらいでいいのかもしれません。会食やパーティーの場であれば、趣味を入れるのも個性のPRに繋がって良印象です。
■歴史文化宗教を学び相手の立場に身を置く
日本人ビジネスパーソンの中には、新興途上国のビジネスパーソンに対して見下した態度をとる人もいるかもしれません。あからさまには言う人はほとんどいないでしょうが、心の中で思っていると相手には伝わるのです。新興途上国での下宿経験もある著者は、相手を心の中で見下して失敗してきたビジネスパーソンを多数見てきました。
見下さないためには、相手の歴史文化宗教を学び相手の立場に身を置いて話をすることが重要です。
先進国を含めて、国や民族にはある程度の共通の歴史観や宗教感があります。Wekipediaに載っている情報くらいは押さえた上で、「歴史的に長く世界最大の経済力を持っておりようやく復活した(中国の場合)」「民族言語や宗教が多種多様(インドの場合)」など歴史文化宗教を踏まえて相手の立場になって考える訓練をしましょう。