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日本人のフグ離れ深刻化 実はこんなに安くてうまい?「フグの大衆化」の裏側

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「若男水産 HP」より
 冬といえばフグなべ、てっちりの季節――日本人は世界一のフグ好きとして知られる。なんと縄文時代から食用され、あまりに武士の“犠牲者”が続出したため、豊臣秀吉が禁止令を出したこともあった。俳聖・松尾芭蕉もフグの句を詠んでいる。

 だが近年、フグの人気が低下しているのだという。かつて「若者のクルマ離れ」が話題となったが、今度は「日本人のフグ離れ」というわけだ。

 クーポンマガジン「HOT PEPPER」(リクルートライフスタイル)は毎年11月号で『みんなの食べたい鍋ランキング』を発表している。調査は全国20~30代の男女約1000人が対象。今年の結果は1位・すき焼き(179票)、2位・しゃぶしゃぶ(123票)、3位・キムチ鍋(122票)という順位だった。すき焼きはV3。2、3位も昨年と同じ鍋となったものの、ベスト10に「ふぐちり・てっちり」は入っていない。

 同ランキングには「おごってもらいたい鍋」の部門もあり、こちらでふぐちりは133票で3位に選ばれた。ちなみに1位はすき焼き、2位はしゃぶしゃぶで、この2つは両部門ワン・ツーフィニッシュを達成している。

●西高東低のフグ文化


 フグちりは2012年、「おごってもらいたい」部門で1位に輝いたが、翌13年には2位、今年は3位とランクを落とし続けている。実はフグの場合、生産も消費も基本的に「西高東低」とされ、それが弱点になっているようなのだ。

 例えば漁獲量は養殖も含むと1位・長崎、2位・熊本、3位・愛媛、4位・石川、5位・香川――の順位となり、圧倒的に西日本が多い。消費も一般に「大阪6割、東京3割」といわれ、地域差の少ない牛肉とは対照的だ。「HOT PEPPER」編集部は次のように解説する。

「今回の調査で、ふぐちりを選んだ回答割合を大阪と東京で比較すると、それぞれ概数で『8人に1人』と『11人に1人』でした。さらに近畿地方と関東地方も比べてみましたが、同じように『6人に1人』に対して『10人に1人』となっています。いずれも東日本ではフグの人気が低いことがわかります。背景として考えられるのは、実際に食べた経験の有無ではないでしょうか。大阪に比べると東京はフグになじみのない方が増えつつあり、その分、順位が落ちてきているのかもしれません」

 中央水産研究所・経営経済研究センターの宮田勉博士(水産経済学)は、この東西の違いを次のように指摘する。

「大阪でフグは刺身がスーパーでも売られていますが、東京では高級店が中心です。それも相当に重要な接待やお祝い事などでしか使われません。この違いが消費量に大きな影響を与えているのでしょう。たとえ身近な食材ではなくともテレビなどで取り上げられれば『食べてみたい』という欲求を感じますが、最近はメディアに露出することも減っています」