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大手電機社長たちに異変 「明るさ」を取り戻した素顔、業績回復と攻めの経営鮮明に

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NEC本社ビル(「Thinkstock」より/KW)
 年末から年始にかけて、メディア関係者を呼び「懇談(親)会」なる催しを開く企業は多い。多くは立食形式で、会長、社長をはじめとする役員たちを囲んで話を聞く場である。招かれたメディア関係者やアナリストは料理や飲み物を多少口にするが、ほとんど話を聞くことに熱中している。企業の人びとは料理さえ口にしないケースが多く、「懇談会」と称しながらも、一言一句気をつけながら話しているようだ。そこにいる記者たちもいろいろな質問をぶつける。フォーマルなインタビューとは違った気のおけない雰囲気で、1時間半から2時間ほどを過ごす。

 筆者はジャーナリスト経験を積んだ経営学者ということもあり、このような会合に呼ばれるケースが少なくない。スケジュール上、講義や学務などでどうしても行けない時を除いてはできるだけ参加しているが、2014年の年末に開かれた各社の懇親会で、ある変化に気づいた。それは、一時は総崩れ状態にあった電機メーカー各社社長の顔つきが元気になってきたことだ。筆者の気のせいではないようで、同席していたメディア関係者が異口同音に同じ感想を述べていた。

 まず、元気印を見せてくれたのがパナソニックの津賀一宏社長。もともと、社長として出来上がっていない鮮度の高さが津賀社長の魅力なのだが、持論を展開し、ときには新聞記者を相手に反論する姿を見ていると、構造改革から攻めに転じた同社を映しているように見えた。同社は自動車と住宅関連領域を新たな屋台骨にする計画だが、津賀社長は「自動車分野では、当社はあくまでもサプライヤーの立場ですが、住宅分野には世界を見渡しても巨人が存在せず、ローカルな企業が多い。その中で海外での販売ということになれば、当社に一日の長があるため主役になれるでしょう」と東南アジアを手始めに世界で住宅事業を展開していく意欲を見せていた。

「金がありませんから、誰も連れないで一人で飛び回っています」と明るい表情で話すのは、4年ぶりに懇談会を開催したシャープの高橋興三社長。2013年6月に就任してから1年半で、同社の事業所を138カ所(14年12月17日現在)回り、従業員と議論し親交を深めた。「スピードを重視した経営をするためには、社内の情報流通を良くしなくてはならない。裸の王様にならないようにしたい」という。経営再建途上で安堵するのは時期尚早と戒めながらも、やっと明るい兆しが見え始めてきたせいか、元気な表情で「社員を向いて動くことが、何よりも再生の力になる」と語っていたのが印象的だった。

 会場にはヒット商品になった「ヘルシオお茶プレッソ」が展示してあった。これは、「社内の9割が反対しても、1割だけが賛成した商品」の具体例。単価は2万5000円と安いが「目の付けどころがシャープ」の復活を象徴している。

 シャープが「転地」の候補の一つにしているのが医療である。特に最先端医療に注目している。あまり知られていないが、実は1950年代、シャープは医療分野でビジネスを展開していたことがある。入社以来、液晶の研究開発に携わってきた水嶋繁光副社長(技術担当)は、「私の血管には液晶が流れています」と豪語していた。ところが、今回の懇談会では「今は、血液を研究しています」と話す。「液晶のシャープ」が「医療のシャープ」になる布石を打ち始めたようだ。