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出張版・アリエナイ理科「毒のハナシ」

危険ドラッグ、危険すぎて販売業者が自ら手をつけないほどに…神経を破壊、未知の成分…

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「Thinkstock」より
 麻薬や覚せい剤をはじめとする危険な薬物は、世間では存在自体が否定される傾向にあります。法的に使用はもちろん所持も禁止され、「ダメ。ゼッタイ。」といったポスターなども見かけます。

 これらの啓蒙活動は決して間違ってはいないのですが、何がどうダメなのかの説明が足りません。学校などでチラシを配ったり、ポスターを貼ったりと、熱心な活動はなされていますが、その根拠がわかりづらいのです。

 ポスターをどんなに貼っても、麻薬の本当の怖さをまったく知らない人には、身近な先輩から「そんなに悪いものじゃないよ」と一言勧められるだけで、簡単に手を出してしまうのが現実です。十分な情報を与えず、「ダメなものはダメ」と否定するだけでは、何も解決しません。

「学ばざる者は存すと雖も行屍走肉のみ」――後秦の王嘉が撰した志怪小説集『拾遺記』の一節ですが、学ばないという選択肢にはなんの価値もないのです。

 そこで今回は、人の心を惑わす悪いクスリについて、「何がどうダメなのか」を知るために、説得力のある解説をいたします。

脱法ハーブ

 まずは、最も物議を醸している脱法ハーブについて説明しましょう。ちなみに、現在は「危険ドラッグ」という曖昧模糊な名前になっていますが、かえって実態が不明瞭になってしまうので、この記事では脱法ハーブという名称を使用します。

 まず脱法ハーブとは、ある特殊な植物片をタバコ紙のような紙に巻き、タバコのように煙を吸引するもので、大麻に似た効果、ものによっては大麻以上の精神作用があります。サイケデリックなパッケージの袋に入っているものが多いようです。具体的な症状はまちまちで、気持ちが落ち着いたり、食欲が増して食べ物がおいしく感じられたり、感情があふれ出たり、幻覚を見るものもあります。

 脱法ハーブが出回り始めた当初は、大麻に匹敵するような精神作用を持つ植物が含まれているとみられていましたが、実は植物片はトケイソウやドワーフスカルキャップ、ライオンテールといった特に強い害がない葉で、これらに合成大麻類似成分が混ぜられているのです。

 合成大麻類似成分とは、がんなどのひどい痛みを伴う病のために、モルヒネ以外の鎮痛剤を開発しようとして生み出された薬物です。現在確認されているだけで800種類を優に超えており、これらへ個別に法の網をかけるのはとても困難な状況です。合成大麻類似成分は大きく「CPシリーズ」と「JWHシリーズ」に分けられます。