危険ドラッグ、危険すぎて販売業者が自ら手をつけないほどに…神経を破壊、未知の成分…
医療用大麻
他方、大麻は医療に使われている薬物です。意外に思う人もいるかもしれませんが、カナダやアメリカの一部の州、ドイツやイギリスといった先進国をはじめとして、多くの国で制吐剤、鎮静剤、そしてモルヒネのような副作用の強い疼痛緩和剤の代用として、大麻や大麻類似成分が使われています。ちなみに日本では、大麻取締法にて禁止されているため、医療分野でも使われていません。
この温度差は、どのように生まれたのでしょうか。例えばアメリカと日本で比べてみると、法的な扱いに対応の差があることがわかります。
そもそもアメリカには、麻薬という法的なカテゴリーはありません。語弊が生じそうですので詳細に説明すると、法律に直接麻薬という言葉は表れず、医療用薬物も麻薬的薬物も含め、許可なく所持・使用を禁じる薬剤から市販薬まで「規制物質法」で一律に管理しているのです。
カテゴリーをスケジュール1〜5に分けており、一見、日本の麻薬関連法と似ていますが、規制物質法ではスケジュール1にヘロイン、MDMA、大麻などの危険薬物、スケジュール2にコカイン、アンフェタミンと並んで、注意欠如多動性障害(ADHD)に処方される薬剤のメチルフェニデート(リタリン)も明記されています。医療用大麻としては、マリノールという化学合成されたTHCの錠剤がスケジュール3にカテゴライズされております。
要するに、濫用の危険度に合わせてカテゴリー分けをしており、日本では使用が禁止されている薬物についても、医師や薬剤師の判断で使うことが可能とされているのです。日本では、医療用覚醒剤(ヒロポン)や疼痛緩和薬としてのモルヒネ以外はほとんど使用不可とされています。
これが良いか悪いかは一概にいえませんが、別枠で法規制をしている日本では、医療用としてでも大麻を非常に使いにくい状況は続くでしょう。
合成大麻と大麻成分
大麻の代表的成分である△9-THCと、代表的な脱法ハーブの成分2種類を並べてみると、形が似ています。薬において分子構造は非常に大切で、大麻の成分は脳の中にあるカンナビノイドレセプターという受容体にぴったりはまるようにできています。
厳密には、これらのレセプターには種類があり、またレセプターの分布場所によっても効果は大きく変わってくるのですが、ここでは割愛します。