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ドローン、不都合な真実 アベノミクスの目玉が安倍政権に冷水、テロ対策の有効な手段なし

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DJI社製ドローン「ファントム2」
 ドローン落下事件がアベノミクス実行計画の大本営である首相官邸で起こったのは、皮肉なことだった。小型無人機や無人ヘリコプターをはじめとするドローンの普及・活用は、安倍晋三政権が推進する経済政策、アベノミクスの成長戦略でも目玉の一つになっている。その一環として、「強い農業戦略」でも日本が得意とする無人ヘリ購入に巨額の補助金があてがわれているほどだ。さらに政府は少子高齢化対策として、無人ヘリを含むロボットを普及させ、経済再生を図ろうとしている。

 総務省もドローン普及に対応し、必要な周波数帯域を確保する準備を始めた矢先だった。農林水産省は、農薬空中散布の実施面積の大幅な拡大を狙い、無人ヘリコプターの重量規制をこれまでの100kgから150kgに緩和する予定だ。
 
 その最中に政府へ冷水を浴びせたのが、官邸の警備を担当する警視庁の総理大臣官邸警備隊だ。官邸警備隊は新官邸ができると同時に発足した100人ほどの陣容で、精鋭揃いという触れ込みだった。それが、官邸屋上に舞い降りたドローンの存在にすら気がつかず、実行犯からも「官邸も情けない」といった名文句を吐かせるほどのお粗末さ。挙げ句に、メンツ丸つぶれの警備関係者が声高にいうのが、ドローンの早急な規制強化だ。
 
 しかし、このタイミングでの規制強化には反論もある。今年1月に米国ホワイトハウスへドローンが舞い込んだ時、ホワイトハウス警備関係者はそれほど騒ぎ立てなかった。彼らはホワイトハウスにはレーダー装置やさまざまな感知センサーなどを配備しているが、ドローンのような小型で低空を飛ぶ機体は察知し難いのを熟知している。実際に、ドローンの警備対策で有効な手段は現時点ではほとんどないのが実情だ。

 それでも、小型ドローンに最も有効だといわれているのが、妨害電波を発してドローンを飛行不能にするジャミングと呼ばれるものだ。事件後、ホワイトハウスのシークレット・サービスは数機の小型ドローンをホワイトハウス周辺で飛行させてジャミングの有効性をテストすると予告していた。だが、このジャミングは周辺に与える影響もあり、米国では市街での使用は禁止され、すぐに実行に移せるものではない。しかも、ドローンが使用する周波数は無線通信規格のWi-Fiで一般的に使用される周波数帯と同一のものもあり、その周波数帯に向けて妨害電波を出せば一般のデジタル機器が大混乱する危険がある。

 そのほかに、個人宅用のドローン探索装置として、ドローンが機体から発生する音波を捉えてドローンの接近を察知するものも販売されているが、その音波察知装置も市販されているドローンの音波を記録してそれにマッチするかどうかで判断するといった装置で、機体を改造して音波を変えられてしまえば役に立たなくなる代物だ。