「国境なき記者団」は毎年「世界報道自由ランキング」を発表し、しばしば話題となる。ちなみに今年2月12日の発表では、日本の報道自由度は59位で、11位だった2010年から年々ランクを下げている。
また、5月3日の「世界報道自由デー」に合わせ、「国境なき記者団」初の試みとして報道の自由のために闘ったと認められる人物100人が「世界の情報ヒーロー100人」として表彰された。
なお、オーストラリアからは、匿名で政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイト「ウィキリークス」の創始者であるジュリアン・アサンジ氏が選ばれている。日本のマスコミは本件、とりわけ日本人ジャーナリストが選ばれたことを報じておらず、黙殺の状態だ。
その理由は、冒頭の記者会見でわかった。
●警察腐敗追及で100人以上の警察官が処分される
寺澤氏が選出された理由は、以下の3つ。
(1)長年にわたる警察腐敗追及
(2)記者クラブ批判
(3)秘密保護法の違憲確認・施行差し止め請求訴訟の提起
会見で語られた寺澤氏自身の言葉を用いて詳しく伝えたい。
「1989年から25年間ジャーナリストとして活動していますが、警察の腐敗を追及して過去100人以上の警察官をクビ、刑事訴追、その他懲戒処分などにさせてきました。
例えば昨年も、兵庫県警の現職警察官らが、業者から性風俗で接待を受けていた記事をインターネットと週刊誌に掲載し、現職警察官2名が逮捕、懲戒免職され、そのほかにも何人かの警察官が論旨免職を含む懲戒処分を受けました。
そんな中で私は、逮捕状もないのに暴行を受けて警察車両に押し込められて連行され、取調室に半日間監禁されたり、公安警察官に尾行されたことがあります。
監禁を受けた件と尾行された件について私は裁判を起こしましたが、両方とも負けました。監禁された事件では、目撃者がいるにもかかわらず、裁判で十数人の警察官は『寺澤氏が自ら進んで車に乗り込んだ』と口をそろえ、その証言を裁判所は採用しました。
また公安警察に尾行された件ですが、警察官は裁判の中で、オウム真理教の捜査中に私が信者に会おうとしていたため尾行していたという趣旨の証言をしました。
しかし、このとき私は(オウム真理教の取材ではなく)警視庁と暴力団の癒着を取材しておりました。『週刊文春』(文藝春秋)にその記事を書いたところ2名の警察官が免職になり、そのほかにも処分者が出ました」