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苦境のカタログ通販、大手小売りの“草刈り場”状態に

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「Thinkstock」より
 カタログ通販会社が小売り大手の草刈り場になっている。

 大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングは5月、「ベルメゾン」を運営する千趣会に出資して筆頭株主になった。J.フロントは第三者割当増資や創業者一族からの株式買い取りなどにより、千趣会株式の22.62%を100億円で取得。持ち分法適用会社に組み入れた。通販ビジネスのノウハウを取り込み、EC(電子商取引)事業を強化する。J.フロントの山本良一社長は「マルチリテーラー(複合小売り事業者)として生きるには事業の幅を広げるのが大前提だ」と語っている。

 千趣会の2014年12月期連結決算の売上高は前期比0.7%増の1425億円、営業利益は23.2%減の30億円、純利益は55.6%減の17億円と苦戦している。ピークの1998年3月期の売上高は1869億円だったが、この10年ほどは1400億円前後で推移している。通販事業の売上高は1252億円、営業利益は19億円。前年よりそれぞれ12億円、9億円減った。CMの削減により年間の購入者数、新規会員数ともに減少した。

 近年はカタログからインターネット通販に軸足を移している。カタログの発行部数は6463万部から6375万部に減少。一方でネットを通じた購入が全体の74.5%に高まったが、ネット売り上げは831億円と横ばいとなっている。

 1500万人の顧客基盤を持ち、年間の利用者数は400万人。うち92%が女性で、特に30~50代の女性が多いことが千趣会の強みだ。取り扱う商品のうち78%がプライベートブランド(PB)である。

 J.フロントの15年2月期のEC事業の売上高は156億円と、全体の1.3%にとどまる。PB商品の千趣会との共同開発や、ネット通販のノウハウを吸収することで、17年2月期にはEC事業の売り上げを6割増の250億円とする目標を掲げる。

セブン&アイニッセン買収


 だが、店舗とネット通販の融合、いわゆるオムニチャネル戦略により成果を出すのは容易ではない。

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は14年1月にカタログ通販最大手のニッセンHDを買収した。オムニチャネル戦略強化のため傘下に組み入れたが、経営の舵取りはうまくいっていない。

 ニッセンHDの14年12月期の連結売上高は前期比6.1%増の2083億円、営業利益は66億円の赤字(前期は33億円の赤字)、当期利益は85億円の赤字(同28億円の赤字)だった。連結子会社の決算期変更に伴い、売上高はかさ上げされたが、この影響を除くと実質減収。カタログの発行回数を増やしたものの、売り上げの拡大につながらず、コストだけが増えた。在庫処分のための値引き販売も利益を圧迫した。