NEW
清水和夫「21世紀の自動車大航海」(7月28日)

ポルシェ最新モデルがスゴすぎるぞ!スポーツカーなのに、なぜマニュアルを捨てた?

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ポルシェの911 GT3「ポルシェジャパン 公式サイト」より
「全財産をなげうってでも、マイカーにしたい車はなんですか?」

 そう聞かれたら、答えは決まっている。ポルシェ911 GT3だ。この最新モデルから、トランスミッションの設定にMT(マニュアル)がなくなり、すべてPDK(ポルシェ・ドッペルクップルング/7速の2ペダルMT)になった。

 これが良いか悪いかの答えは最後に明かすとして、自然吸気(NA)で9000 rpm(回毎分)も回るエンジンは、今では希少である。あのフェラーリでさえ、V8NAをやめてターボに変更してしまった。

 実はノーマルの911もターボ化が計画されているらしく、よく回るNAエンジンは今や絶滅危惧種になろうとしている。そんなGT3の特徴は、エンジンやPDKだけではない。切れ味の鋭いハンドリングも、元走り屋にはうれしいものだ。かくして、魅力満載のGT3に私はすっかり惚れ込んでしまった。

 先日、富士スピードウェイで2日間、GT3のステアリングを握るチャンスに恵まれた。しかし、初日はあいにくの雨であった。

 GT3はドライ性能を重視するため、ミシュランの専用タイヤを履いているが、溝は5mm弱と浅い。路面も冷えているので、少し濡れただけでもよく滑る。そのため、初日は極めてリスクが高い走行状況だったが、かえってGT3の弱点を知ることができた。

 GT3にはABS(アンチロック・ブレーキシステム)やESC(横滑り防止装置)、TCS(トラクションコントロールシステム)が備わっているので、雨でも大丈夫だと思うかもしれないが、それは素人の考えだ。雨天時に走りやすいのはPDKのスポーツモードで、このスイッチを押してからMTモードでPDKを操作すると、ギアが固定される。

 GT3のタイヤは雨が苦手で、TCSではタイヤのスリップを止めきれないので、高いギアを使うといい。つまり、2速で走るところを3速、3速で走るところを4速で走るのだ。そうするとエンジン回転が下がって、トルクと馬力が低くなり走りやすくなる。

 ただし、このテクニックはターボでは使えない。ターボは2000rpm(回毎分)くらいから最大トルクを発生するので、ギアダウンしてもタイヤに加わるエンジントルクは低くならないのだ。

非日常の世界を体験できる車


 2日目は、一転して晴れた。前日はエンジン回転を下げて走っていたが、この日は思い切りエンジンを回す。ヘアピンカーブを3速ギアで立ち上がり、その先の300R(半径300メートルの円を描くカーブ)のコーナーは、一気に9000rpmまで回した。