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富家孝「危ない医療」

北斗晶告白による乳がん検診ブームは危険?不必要に乳房全摘や抗がん剤治療の恐れも

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「Thinkstock」より
 元女子プロレスラーでタレントの北斗晶さんの乳がん告白以来、全国で乳がん検診の問い合わせや予約が激増している。報道によると、東京都がん検診センターではすでに年内の検診予約はいっぱいだという。東京だけではない。大阪、名古屋などの都市部から地方の病院にいたるまで、年内の予約は埋まっているという。

 筆者は講演で地方に行くことが多いが、ある地方都市では病院関係者から「こんなことは初めて。大きい声では言えませんが、病院としては嬉しい悲鳴です。やはり、有名人とテレビの力はすごい」という話を聞いた。

 現在、全国の市町村ではどこでも「受けよう!がん検診」というキャンペーンをやっている。そして、病院に行けば「がんは早期発見で治る」というようなポスターが貼ってあり、医者も「がんは早期発見、早期治療が第一」と言っているが、検診を受ける人はそれほど増えてこなかった。それが、ここへきてのにわかの検診ブームだから、関係者が驚くのも無理はない。

 しかし、北斗さんの告白を受けて、テレビなどが「早期発見すれば治る」と報道するのは、がんに対する誤解を助長するだけで、一種のミスリードである。

 医者は検診で儲かるからいいが、検診を受ける人間にとってはほとんどメリットなどないからだ。とくに若い女性の方にとっては、乳がん検診は受けても意味がないといっていい。

 なぜなら、北斗さんの例が示すように、検診で発見されたときはすでに早期ではないということのほうが多いからだ。北斗さんは毎年欠かさず検査を受けていたにもかかわらず、気づいたときには腫瘍が直径約2センチになっており、さらにはリンパに転移している可能性もあると言われたという。それで、右乳房を全摘出する手術を受けることになった。

有効性を示すデータはない?


 今の日本のがん治療は、乱暴な言い方をすれば、早期だろうと後期だろうと、「切り取る」「抗がん剤で小さくする」「放射線で焼き殺す」という3大療法を患者に勧めている。これでは、たとえ治療がうまくいっても「クオリティ・オブ・ライフ」(生活の質)は保てない。

 さらに大きな問題点は、乳がん検診がはたして有効であるかどうか、確かなデータがないということだ。近年、乳がんに関しては「マンモグラフィ」検査が主流になったが、乳がんの発見数はそれ以前の3倍以上と大幅に増加したにもかかわらず、乳がんの死亡者数はまったく減っていない。そのため、欧米諸国では乳がん検診をやめてしまったところもある。