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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

さくらももこさんを襲った「乳がん」、死亡者が過去30年で3倍に激増の理由

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
さくらももこさんを襲った「乳がん」、死亡者が過去30年で3倍に激増の理由の画像1さくらももこさんの代表作「ちびまる子ちゃん」が描かれた旗を掲げる清水サポーター(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 漫画『ちびまる子ちゃん』(集英社)や『コジコジ』(同)、ベストセラーになったエッセイ『もものかんづめ』(同)などで有名なさくらももこさんが、8月15日、乳がんのため亡くなられた。享年53歳。

 昭和40(1965)年生まれの弱冠19歳で漫画家デビュー、昭和61(1986)年から少女漫画誌「りぼん」(同)で『ちびまる子ちゃん』の連載をスタートすると大ヒット。単行本などの累計発行部数が3200万部に達するなど、一種の社会現象を巻き起こした。

 平成2(1990)年からはフジテレビ系でアニメ『ちびまる子ちゃん』が放送され、当年の10月28日の平均視聴率は驚異の39.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。アニメ版のテーマソング『おどるポンポコリン』(B.B.クィーンズ)の作詞もさくらももこさんで、CDは164万枚も売り上げた。

 昨年からタレントの小林麻央さん(2017年6月22日死去、享年34歳)、フジテレビの名物アナウンサーだった有賀さつきさん(2018年1月30日死去、享年52歳。病名はご家族非公表、マスコミが推定)と、著名人の乳がんによる「若死」が相次いでいる。

『ちびまる子ちゃん』のお姉ちゃん役を担当していた声優の水谷優子さんも、一昨年(2016年)5月17日に49歳の若さで同じく乳がんで亡くなられた。

 2017年に乳がんと診断された日本人女性は8万9100人の多きを数える。同年に乳がんで死亡した女性の数も1万4400人にのぼる。乳がんによる死者は、この30年で3倍にも増加している。

 アメリカのがん学者が、がんを防ぐ唯一の方法は「Stay young!」(若さを保て)と喝破しているごとく、がんは一種の「老化病」である。しかし乳がんは、女性ホルモンにより増殖するという一面があるので、閉経前の40~50代の女性に多発するのである。

 授乳することで乳がんの発症が減少することは、50年も前から明らかにされている。よって、晩婚化、少子化で女性の授乳機会が減ったことも乳がん増加の一因になっているのではないだろうか。

エコー検査が重要

 乳がん死を免れるために、乳がん検診の重要性が叫ばれている。アメリカの検診率は85%と高いのに、日本のそれは40%と低いので、「アメリカの女性の乳がん死亡者は減少しているのに、日本の女性の乳がん死亡者が増加している」と専門家は口を揃えて言う。

「乳がんの腫瘤が2cm以下、リンパ管転移なし」ならば、手術、放射線、抗がん剤などの西洋医学が誇る三大療法で「ほぼ完治する」からだという。早期発見するほど治療効果が高まるという理由だ。

 よって、厚生労働省でも「マンモグラフィーによる乳がん検診を2年に1回行うように」と推奨している。

 しかし、日本人を含むアジア人は約80%がデンスブレスト(乳腺組織が乳房に多く存在する「高濃度乳腺」)なので、マンモグラフィーでは乳がんを発見しにくい。よって、エコー(超音波)検査が重要になる。

 東北大学の大内憲明教授(腫瘍外科)らが、2007年7月から11年3月まで、40代の女性7万6000人を対象に検診調査した結果、「マンモグラフィーのみ」の検診より、「マンモグラフィー+エコー」の検診のほうががん発見率が1.5倍になった、という研究を世界的な医学誌「Lancet」(15年11月5日、電子版)に発表されている。

 確かに、こうした最先端医療機器を駆使して乳がんを早期発見することは大切であるだろう。しかし、「この30年で乳がんの発症者数が激増し、死者数も3倍になっている」ことを鑑みると、「乳がんという病気(結果)」の処置をすることより、なぜ乳がんの発症数が多くなったかの原因を究明し、その予防のほうに目を向けるほうが格段に重要であろう。

「高脂肪の欧米食」

 以前、日本人に多発していた胃がん、子宮頸がんが減少し、昭和35(1960)年以降増加してきた肺がん、大腸がん、食道がん、すい臓がん、子宮体がん、白血病、悪性リンパ腫などの「欧米型のがん」のひとつとして、乳がんが存在するのである。こうした欧米型のがん発症の大きな要因が昭和35(1960)年以降に摂取量が増加した肉、卵、牛乳、バター、マヨネーズなどに代表される「高脂肪の欧米食」なのである。

 脂肪(コレステロール)から、女性の卵巣、男性の睾丸の中で、女性ホルモン(エストロゲン)、男性ホルモン(テストステロン)が合成される。体内の女性ホルモンの増加が乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、男性ホルモンの増加が前立腺がんの一大要因となる。がん細胞が一個体内に発生して医学的にがんと診断され得る直径1cmの腫瘍(がん細胞=10億個)になるまで約20年かかるとされている。よって乳がんの予防には「低脂肪食」「長寿食として世界から認められている和食中心の食事」を日頃から心がけられるとよい。

 なお、野菜、果物が豊富で、魚、魚介類も多く、肉類は少なめ、オリーブ油をふんだんに使う「地中海食」も「長寿食」「抗欧米型がん食」として、世界のがん学者に認められている。

 ウォーキングのほか、スポーツに励むと筋肉細胞からはテストステロンが分泌(女性にも男性の10分の1くらいの量が存在)されて「抗乳がん効果」を発揮する。乳がんの予防、再発予防にはなんでもよいので筋肉運動に勤しむ必要がある。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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