10月22日、100円ショップチェーンのザ・ダイソーを運営する大創産業は、今年8月に発売したマニキュア「エスポルールネイル」全148商品のうち76商品から、化粧品への配合が禁止されている化学物質のホルムアルデヒドが検出されたとして、当該76商品を含む全商品を販売停止し、回収すると発表しました。
エスポルールネイルは、中国の工場から約576万個が輸入され、ダイソーで売られていました。しかし、利用者から、「指が腫れた」「爪が変色した」などの苦情が数十件寄せられたといいます。そして、調査が行われ、今回のような結果になったのです。
ホルムアルデヒドは、別名メタナールともいわれ、刺激臭のある無色の気体です。水に溶けやすく、その水溶液はホルマリンと呼ばれます。プラスチックの一種のメラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂などの原料として使われています。また、衣服の防シワ加工剤、消毒剤、防腐剤などの用途も知られています。今回問題となったマニキュアにも、原料として使われていた可能性があります。
ホルムアルデヒドは、粘膜に対する刺激性が強く、劇物として扱われています。そのため、エスポルールネイルを使った人に、指が腫れる、爪が変色するといった症状が現れたと考えられます。また、ホルムアルデヒドには、発がん性があります。ラットおよびマウスに対して、ホルムアルデヒドを長期間吸入させる実験では、鼻腔にがんの発生が認められました。さらに、衣料加工、死体保存処理などの作業場でホルマリンを扱う労働者に、肝臓がん、前立腺がん、膀胱がん、脳腫瘍などが多発することが報告されています。
そのため、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、ホルムアルデヒドを発がんリスクが最も高い「グループ1(人に対する発がん性が認められる)」の化学物質に指定しています。またIARCは、2009年にホルムアルデヒドを白血病の原因物質として特定しています。ちなみに、板壁などの建材、家具などに接着剤として使われているユリア樹脂からはホルムアルデヒドが揮発して、シックハウス症候群の原因となることがあります。