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2023.04.29 01:57
2016.05.20 00:10
小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」
日本、債務がGDPの4倍で財政破綻か…銀行預金が無価値化、ビットコインが資産防衛手段
資産防衛の「ノアの箱舟」
このような状況のなか、将来財政破綻で日本円が毀損する場合、ビットコイン等の仮想通貨は、取引の決済手段や資産防衛に利用できるかもしれない。実際、政情不安で通貨危機に陥ったウクライナや、高インフレのアルゼンチンやブラジルなどでは、ビットコイン特需が起こっており、ビットコイン業界の成長に一役買っている。
また、財政危機に陥ったギリシャでは一時、自国通貨を銀行から引き出せなくなったが、その際、保有するビットコインを現金に変換することで危機を乗り切った者もいるという報道もある(15年6月17日付ロイター)。また、ギリシャのユーロ離脱が騒がれた時期では、仮想通貨のビットコインが一時7%上昇し、「ギリシャのユーロ離脱に対する懸念から、投機筋や同国預金者から買いが入っている」旨の報道もあった(同)。
日本でも、金融庁が利用者保護やマネーロンダリング・テロ資金対策といった観点から、ビットコイン等の「仮想通貨」の法的な定義を定め、それらを「貨幣の機能」を持つものと初めて認定する資金決済法等の改正案を今国会に提出している(注:正式名称は「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」3月4日国会提出)。
もし、この法案が今国会で成立すれば、取引の決済手段として、ビットコイン等の仮想通貨が法的に位置づけられ、将来それは日本が財政危機に陥ったとき、資産防衛の「ノアの箱舟」になる可能性を秘めていると思われる。そのとき、取引の決済手段の主役は、ビットコイン等の仮想通貨になっているかもしれない。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)
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