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肉フェスの開催中も、ささみ寿司に食中毒発生の疑いがあるとして、保健所から販売中止を勧告されていたが、AATJ側は無視して販売を続けたのである。
こうした批判に対して、AATJの広報担当者は「確かに保健所から指摘を受け、一旦、販売を中止しました。ですが、保健所から『火を通せば販売してもいい』という許可を受けたので、調理方法を変えて販売を開始した」と弁明している。しかし、前出の食肉業界関係者は指摘する。
「今回の食中毒の原因となったカンピロバクター菌は、充分な加熱調理をすることで死滅するとされていますが、結果的に被害が拡大した以上、加熱を怠ったといわれても仕方ありません。ただし、菌というのは目に見えないですから、いつどこで混入したのかはわからない。仕入れた時点で汚染されていた可能性もあります」
問題のささみ寿司を提供していたのは名和食鶏という食肉加工会社だが、同社も、11年頃に死んだニワトリ1200羽あまりを不法に埋め捨てていたとして、廃棄物処理法違反の罪に問われている。
こうしてみると、肉フェスでの食中毒発生の原因は、単純に生食のリスクだけでなく、関係企業それぞれの思惑や、食フェスという構造上の問題が重なった結果といえる。
「こういうことを言ってはいけないのかもしれませんが、やはり、消費者側の意識も低くなっているのではないでしょうか。冷静に考えれば、あんな場所で生の鶏肉を食べることがどれだけリスクを伴うか、わかるはず。特に老人や子供、体調が悪い人などは注意すべきです」(食肉業界関係者)
今夏も、全国各地で食フェスが多く開催される。出店する飲食店の衛生管理を全面的に信頼するのではなく、今一度、自分たちの目や知識で判断することが必要かもしれない。
(文=ソマリキヨシロウ/清談社)
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