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最高視聴率更新『あなたのことはそれほど』…仲里依紗の「落としのテク」に視聴者驚愕、不気味キャラ氾濫

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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最高視聴率更新『あなたのことはそれほど』…仲里依紗の「落としのテク」に視聴者驚愕、不気味キャラ氾濫の画像1『あなたのことはそれほど』公式サイトより

 波瑠や東出昌大らが出演するドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)の第7話が5月30日に放送され、平均視聴率が自己最高を更新する12.4%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。先週からは0.9ポイントの上昇。波瑠演じる主人公・美都の暴走ぶりを筆頭に、どこかおかしな人ばかりが繰り広げる愛憎劇が「ネタドラマ」として視聴者に受け入れられてきているようだ。

 第7話では、自分を「運命の人」と信じてすがりついてくる美都に閉口していたと思われる有島(鈴木伸之)が、ついに別れを切り出す。美都との不倫について「失敗した」とつぶやく有島。もし再開したところからやり直したとしても「少し話してそのまま帰る」と力なく話した。果たして彼は反省しているのか。それとも、終始美都に振り回され、家庭では妻の麗華(仲里依紗)の目を気にしなければならない生活に疲れ切っただけなのか。

 突き放された美都は実母の悦子(麻生祐未)の家に転がり込み、悦子が経営するスナックを手伝い始めた。だが、すぐに涼太(東出昌大)に見つかってしまい、自宅に連れ戻された。その頃有島は、麗華の希望で2人だけのデートに出かけた――という展開だった。

 今回のMVPは、なんといっても夫に不倫された妻・麗華を演じる仲里依紗。前々回あたりから、麗華は夫の有島に別の女の影がちらつくのに気付き、時にはそれとなく、時にはかなり露骨に言葉でチクチクと牽制してきた。何気ない会話の中で急に真顔になり、意味ありげな一言を夫に投げかける麗華の姿は、特に身に覚えのある男性なら震え上がってしまうだろうと思えるほどの静かな迫力があった。

 それなのに一向に浮気をやめる気配のない夫に業を煮やしたのだろうか。今回の麗華は攻め方を変えてきた。「北風と太陽」にたとえるなら、今までが北風で今回は太陽といったところか。夜景の見える店で、夫に感謝の言葉を並べ立てた。幸せに浸りきったような麗華とは対照的に、有島はどんどんうなだれていく。

「なんであなたはそんな泣きそうな顔をしているの? 何がつらいの?」と無邪気に問われ、ついに観念した有島は、「俺がバカだった……」と浮気を認めてしまう。ついに有島も年貢の納め時か、と視聴者の誰しもが思った次の瞬間、麗華の「何の話?」との一言で空気が凍り付いた。いくら牽制されても浮気をやめなかったダメ男でも、あまりにも妻に良くされると良心が痛んで白状してしまうというリアリティーのある展開だ。これには思わず、「やられた!」と声を上げた視聴者も少なくなかったのではないだろうか。

涼太のキャラクターは期待はずれ

「知ってん……だろ?」とうろたえる有島に、麗華が続ける。「何を? 私が知ってるのは、渡辺という女が訪ねてきた。私の前に二度現れた男も渡辺といった。あなたは私に聞かれて困ることがあるとちょっとフリーズする。それだけよ」。口元は笑っており、口調も普通の会話と同じく楽しげだが、目元はまったくの無表情。ぴくりともまばたきせずに有島を真正面に見据えた麗華は、美しくも底抜けに恐ろしい。「怒って責めたりするより、感謝の言葉を並べたほうが心に刺さるんだね」「麗華の逆襲シーンに思わず拍手した」「仲里依紗すごいわ! 何あの背筋凍る演技」「仲里依紗さん、次回出演作では落としの刑事役とかいかがですか?」など、視聴者の反響も上々だった。

 クズ男をギャフンと言わせる展開で視聴者の留飲を下げた麗華とは対照的に、いまひとつ期待外れなのが涼太。狂気に満ちた美都への逆襲が始まるかと思わせておきながらも非道になりきれない展開が続いているため、どうにもスッキリしない。第7話のラストは美都に差し出された離婚届を笑顔で破くシーンだったが、これも復讐というよりは美都に執着しているだけに見えてしまい、怖いというよりは気持ち悪いだけだ。このため視聴者の間には、涼太を「気持ち悪い」と嫌悪する美都に理解を示す声すらある。もしかしたら、涼太は冷酷に相手を追い詰めることができないキャラクターとして麗華の対極に描かれているのだろうか。

 今回はこのほか、市販のクッキーを「手づくりした」と偽る有島家の隣人・皆美(中川翔子)や、美都と涼太を別れさせようとする小田原(山崎育三郎)についても「何を考えているのかわからず不気味」との感想が相次いだ。いまだにはっきりと罰を受けていない美都の今後も含め、終盤にきて気になる要素が山盛りになってきた今作。好調のままラストスパートなるか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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