(「Thinkstock」より)
デル採用マネージャー、グッチ人事部長などを歴任し、1500人以上を面接、300人以上を昇格・異動させた経験を持つ、まさに人事のプロ・小山弘樹。ビジネスマンのキャリア形成や人事の”現実”を知り尽くした小山氏が、「自分らしく、楽しく働き続けるための戦略づくり」について具体的な方法と心構えを伝授!
私のところに相談に来られる方は、いろいろな課題や悩みをお持ちです。「転職」「独立」はもちろん、最近は「独立したけどうまくいかないので、サラリーマンに戻りたい」と言う方も相当数いらっしゃいます。もちろん個別の事情があるのですが、私がいつも「今はやめときなさい」と言うのは、目の前の課題をクリアせずに転職しようとする人に対してです。
「上司とうまくいかない」
「周囲とうまくいかない」
「仕事がうまくいかない・面白くない」
だから「転職したい」というパターン。言うまでもなく、こういう人はうまくいきません。書類審査が通ったとしても、たいてい面接で落ちます。候補者の持つ後ろ向きで弱気なオーラに、人事部は敏感だからです。
柔道金メダリスト・石井慧さんのメンタルコーチだった平本あきおさんは、仕事上の課題について以下の4つのレベルに整理しています。
(1)案件レベル…目の前のこと(周囲との人間関係、予算達成できないなど)
(2)現職レベル…今の職場で将来達成したいこと(社長になりたい、こんなプロジェクトをやりたいなど)
(3)キャリアレベル…今の職場に限らずキャリア全般で達成したいこと
(4)ライフレベル…仕事以外も含めて、実現したい生活全般・人生
私の見るところ、90%のサラリーマンの意識は(1)に向いています。うまくいっているうちはまだよいのですが、ここで行き詰まって初めて転職を考えるのです。
こういう人が仮に転職活動を始めたとしても、イヤな上司が退職したり自分が人事異動で職場が変わったりすると、とたんに転職意欲がなくなります。そもそも、自分のキャリアや人生をしっかり見据えた上での問題意識ではなかったといえるし、所詮は会社次第ともいえます。目の前の課題が解決すると、それで”よし”としてしまう人たちです。
こういう「目線の低い(笑)」サラリーマンが、その意識のまま転職活動をするのは得策ではありません。仮にうまく転職できたとしても、また同じような状況が必ず起こるからです。もし現在転職活動中の方で、「自分は(1)だ」と思う場合は、ぜひここで仕切り直しをしましょう。そのためにはまず、(2)以上のレベルのことを考えざるを得ないような問いかけを、自分に対して行ってください。そのレベルの問題意識を持ったとき、初めて転職を1つの選択肢として考える準備ができます。
経営者は日本人より外国人を雇用する!?
「今の会社ではどうも自分の本来の力が発揮できない」
「自分が将来やりたいことと方向性が違う」
「理想的なワークライフバランスがこの会社では実現できない」