コマツは、通期の連結売上高を2兆1000億円から1兆9700億円に1300億円引き下げた。中国の建機売り上げは計画を500億円下回り、25%減の1500億円に落ち込む。中国での前年実績割れは11年5月に始まったが、12年4-6月期は油圧ショベルの販売台数が前年同期比57%減と大幅にダウンした。
野路國夫社長は、4-6月決算発表後のアナリスト向け電話会議で「中国には過剰在庫があると聞いており、かなり厳しい販売競争になる。シェアダウンも覚悟している」と発言。中国での需要回復には時間がかかるとの認識を示した。
日立建機も、4-6月期の中国の売上高は45%減少。油圧ショベルの需要の落ち込みが想定より大きかったことから、2013年3月期の業績予想を下方修正した。連結売上高は8800億円から8200億円に、連結営業利益は780億円から720億円に引き下げた。
日立建機は中国における油圧ショベルの、通期の需要見通しを前期比4%増から同20%減の5万6000台に下方修正した。決算発表した徳重博史・執行役員専務は、「(中国政府は)景気下支えの布石は打っているが、“実弾(金)”が流れていない」と分析。回復時期について「来年1-3月に底を打ち、少し上向く」との見通しを示した。実弾がないから買い手がいないというわけだ。
建設機械と並んで代表的な中国銘柄である、ファクトリーオートメーション(FA)機器も販売が鈍った。工作機械用NC(数値制御)装置で、圧倒的な世界シェアをもつファナックも、中国の景気停滞の逆風には勝てなかった。4-6月期の連結決算の売上高は、前年同期比5%増の1378億円だったが、経常利益は同2%減の554億円。前年同期比で減益となるのは10四半期ぶりだ。
FAの売上高は579億円と同17%減。工作機械に搭載するNC装置の販売が中国向けを中心に減速し、利益率の高いFAの減収が利益を押し下げた。
08年9月にリーマン・ショックが起きると、中国政府は2年間で4兆元(当時の為替レートで約57兆円)の財政出動を行った。これが不動産・株式のバブルを引き起こした。中国政府にとってはバブル崩壊による景気の減速は想定内のことだが、日本の企業経営者はそんなことは言っていられない。来年1月以降に、本当に需要が回復するかどうかに命運を賭けることになるが、前途は多難だ。そんなに早い底入れは期待しない方がいい。
浜矩子・同志社大学大学院教授は、中国が抱えるリスクは「世界の工場」になっていることだと指摘している。