国内航空3位のスカイマークは、大手航空機メーカー・欧州エアバスとの間で超大型機「A380」の購入契約を結んでいたが、7月、購入代金(約1900億円)の支払いメドが立たないことから契約解除となった。この結果、スカイマークにはエアバスから最大で約7億ドル(約720億円)にも上る巨額の違約金の支払いを請求される可能性が発生しており、これによりスカイマークの経営は大きく揺らぐ事態となっている。
「違約金の額にもよるが、その支払いが確定したならば、スカイマークは一気に債務超過状態に陥る可能性が高い」(大手航空会社役員)というのが、業界内の一致した見方なのだ。
だが、スカイマークは交通機関の一角を担う国内3位の航空会社であり、潰れるままにもさせられない、というのが監督官庁である国土交通省を筆頭とする業界の共通認識でもある。
●少ない支援の選択肢
スカイマークの経営を建て直すための手法は少なく、以下に示す3つのパターンが考えられる。
(1)民間銀行が中心になって経営再建計画を策定し、銀行の管理下に置き再建を進める
(2)国交省が責任を負うかたちで、公的ファンドの管理下に置き、公的資金を投入する
(3)他航空会社からの出資を受け入れ、そのコントロール下に入る
まず(1)だが、これは可能性としてはゼロに近い。なぜならスカイマークはこれまで無借金経営を続けてきたため、メインバンクが存在しないからだ。このタイミングで火中の栗を拾うような銀行が出てくる可能性はかなり低い。
(2)についても、公的資金を投入する以上、政府には国民に対する説明責任を果たす必要性が発生し、政治的リスクを伴うため可能性は低い。
そうすると最も現実的なのは(3)となるが、経営再建が終了して間もない日本航空(JAL)や羽田空港発着線の国際化対応に手一杯の全日空(ANA)には、スカイマーク支援に乗り出せるだけの余力はない。
このように受け皿は外国勢しかない中で、エアアジアがスカイマークのデューデリジェンス(資産査定)のため、その基本的なデータを集めるべく動き出したのだが、まだ検討にすら入っていないのが実情である。ましてや、なんらかの交渉が始まったわけでもない。デューデリジェンスを終えて、それを踏まえて社内協議に入ってから初めて「支援を検討」といえる。今回の日経新聞の報道は、勇み足だった可能性が高い。
(文=須田慎一郎/ジャーナリスト)