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【スルガ銀行問題】相次ぐ不動産業者の業務停止で疑惑浮上…「かぶせ」等の不正横行か

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト

 たとえば、わひこのホームページでは、自社の強みとして「資金調達」、つまり銀行融資に自信を持っている旨を記載していた。「無理だと思って諦めている方、是非一度私どもにご相談ください!」とある。果たして、それほどまでに銀行に融通の利く会社だったのかという点が、第1の疑問だ。同社は、ある金融機関では“取引できない会社”とされていた。過去に別の問題があったからだが、そのため、同社の融資付けは、ほとんどがスルガ銀行だったと聞いている。

 また、実際にアパート業者の担当者から聞いた話では、わひこの担当者から「かぶせ」といわれる、銀行に提出する資料の物件価格を上乗せする行為をさせてほしいと持ち掛けられたという。当然、本来の物件価格と違う金額とするのであれば、提出資料に手を加えなければできない。最終的に、不信感を抱いたそのアパート業者の社長は、わひことの取引を取りやめたが、ほかのアパート業者に対しても、日常的にそうした取引を持ちかけていたことは想像に難くない。これが第2の疑問だ。

こうした話から筆者は、近い将来、なんらかの処分を受ける前に廃業したという“裏の理由”を勘ぐってしまうのである。また、業界内で、水戸大家さんについても似たような話が聞かれた。

金融機関だけでなく不動産業界にもメスを

 現在、かぼちゃの馬車から始まった不正融資の問題は、スルガ銀行や今回の西武信金など、金融機関の問題ばかりが取り上げられているが、不正を行ってきた不動産会社に対しても、もっと追及が行われてもいいのではないだろうか。どうしても、中小の不動産会社を取り上げるより大手の金融機関を取り上げたほうがメディアとしては話題となるので注目されがちだが、本質的な部分にメスが入っていない気がしてならない。今後、金融機関への金融庁の調査が進み、特定の不動産会社の個別の不正が発覚すれば、その取引を行った不動産業者も当然、宅建業法上の処分の対象となり、一定の証拠が見つかれば、購入者への補償問題などに発展する可能性もある。

 そして、こうした一連の不動産投資の融資に絡む問題が大きく取り上げられ、金融庁による調査が始まって数カ月後には、廃業しているのである。ここでは2社を取り上げたが、ほかにも同様の不動産会社が多数あることは間違いない。筆者としては、金融庁だけでなく、国土交通省もその担当部署を動員して積極的に不動産会社の実態を調査すべきではないかと考える。

 もちろん、不動産業界で働く筆者としては、正直、痛くもない腹を探られ、その対応も面倒なものであるから、そうした調査は歓迎するものではないが、現実として投資用不動産の取引で大きな支障が出ており、このままでよいとは思えない。また、もっと健全であることが確認できれば、金融機関としても融資をしやすくなるのではないだろうか。そうして不動産業界としては、一時的に面倒なことになったとしても、今後の活動がしやすくなるのなら、その引き換えとしてここで膿を出してしまったほうがいいのではないだろうか。
(文=小林紘士/不動産ジャーナリスト)

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