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あの東証上場企業に香港系の仮想通貨会社が買収仕掛ける

文=編集部

 その結果ビート株は乱高下し、100~200円台だった株価は、一時900円近くまで上昇した。10月5日の株主総会の最中に前日比14%高となったが、ノアの提案が否決されると一転して急落。終値は28%安となった。その後の株価の推移は、12月25日には年初来安値の62円をつけた。ビートは東証に上場する企業で唯一、ケイマン諸島に籍を置き、シンガポールや香港に拠点を持つ。

 騒動の主役であるノアは、9月末までにビート株をすべて売却していた。そのため、最初から高値での売り逃げを狙ってビート買収を仕掛けたのではないのかとの指摘がある。

創業者はインサイダー取引で起訴される

 ビートは17年12月、新華ホールディングス・リミテッドから社名を変更した。それ以前は新華ファイナンス・リミテッド。この名前を聞けば、「ああ、あの会社か」とピンとくる市場関係者は多いはずだ。

 新華ファイナンスは04年10月、“中国系第1号”として鳴り物入りで、東証マザーズに上場した。中国国営の新華社通信の関連会社と提携して「新華」という名前を付けただけで、新華社とは関係ない。

 11年5月、新華ファイナンスのフレディ・ブッシュ元最高経営責任者(CEO)ら元経営陣3人が、在任中のインサイダー取引などの疑いで米国の大陪審で起訴された。ほかの2人は、シェリー・シングハル元監査委員会議長とデニス・ペリーノ元報酬委員会議長。米司法省によると、3人は5000万ドル(40億円)以上の不正な利益を上げ、山分けしていたという。

 05年7月、米ナスダックにADR(米国預託証券)を上場させた際、米証券取引委員会(SEC)に提出した有価証券報告書に虚偽があり、SECや投資家を騙したことが起訴の根拠となった。

 それなのに、東証は「(元幹部の)起訴をもって、ただちに上場廃止や監理ポストを割り当てる理由にはならない」と判断。15年5月には、東証2部に昇格させた。現在は東京外国銘柄(東証第2部)である。

 その後も、債務超過で上場廃止の危機が相次いだ。

 17年12月期決算の売上高が11億円(16年同期は8億円)、営業利益は2.4億円の赤字(同4.9億円の赤字)。こんな企業がM&A(合併・買収)の対象になるのは「ハコ企業」として利用価値があるからだろう。ハコ企業とは、業績が悪く株価が低迷し、ファンドや仕手筋に株式の大半を握られ、仕手相場に使われたり、第三者割当増資などを繰り返し、市場から資金を吸い上げる道具に使われる、いわゆる“ゾンビ企業”を指す。

 ノアが経営権を握り、事業の実態が入れ替われば、上場審査を経ない「裏口上場」につながった。だから金融庁や東証も注視していたのだ。

 ハコ企業は、いつの世もマネーゲームの達人にとって“カネの成る木”なのである。
(文=編集部)

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