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医師の働き方改革に関する検討会は、去る3月28日に「地域医療」を担う勤務医と研修医らの残業時間の上限を年間「1860時間」(一般勤務医の残業時間の上限=年間960時間)という報告書をまとめた(2024年から運用)。
今年4月から一般労働者に適用される「年間の残業時間=720時間」の2倍以上、1カ月当たりに換算すると「155時間」で過労死ライン(80時間)の約2倍という無茶苦茶なものだ。
地域医療を担う勤務医の労働時間を急激に減らした場合、「患者らに及ぼす影響が甚大だから」ということで、こういう判断がなされた。
私が医師になった1970年代の中頃は医師数が約13万人で、医師不足が叫ばれ各県、1医大の施策のもと、医学部(医大)の数は約40校から約80校に増設され、今では医師数は約32万人に増加した。
それでもなお「医師不足」が続いている。
2024年に診療科ごとに必要とされる医師数に達するには、現状では内科医が約1万4000人、外科医が約6000人不足している、とする検討結果が去る2月22日、厚労省より発表された。
医師不足と共に深刻な問題が、毎年高騰していく医療費である。
1955年に2388億円だった国民医療費は、
・1975年:6兆4779億円
・1995年:26兆9577億円
・2005年:33兆1289億円
と、増加の一途をたどり、2015年には42兆3644億円とまさに天文学的な数字になってしまった。ちなみに1兆円をわかりやすくいうと、2740年前の縄文時代より毎日(毎年じゃない)100万円ずつ使い続けて達成できる金額なのである。
この40年間で医師数も倍増し、医療機器の精度も向上し、栄養状態も改善したのに、病気、病人は減るどころか、毎年増加していき、医療費が国家の財政を圧迫している。1250兆円にも膨れ上がった日本の借金の一大要因が、医療費の高騰である。

人口1人当たりの国民医療費は、
・65歳未満:18万4900円
・65歳以上:74万1900円
・75歳以上:92万9000円
となっている。