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高橋篤史「経済禁忌録」

あの上場企業の大量発行増資株は、どこに消えたのか?蠢く“中国系”ファンドと有力仕手筋

文=高橋篤史/ジャーナリスト

 ジャスダック上場の不動産会社ルーデン・ホールディングス(HD)が発行した大量の増資株が消えてしまった――。昨年1月の第三者割当増資で割当先となった投資ファンドが、金融商品取引法で義務づけられている大量保有報告書を提出しないまま大半を売り抜けてしまったのだ。ファンドの背後では12年前の相場操縦事件で指南役とされた有力仕手筋が蠢いているとも囁かれている。

 ルーデンHDが増資の割当先としたのは東京・六本木の雑居ビル内に登記された「チャイナトラベル1号有限責任事業組合」。同じ場所に登記され、中国人が代表取締役を務める「洪昊JAPAN」なる会社が唯一の組合員で、中国企業からの融資を原資に払込資金3億7400万円のほとんどを拠出しているとされた。割り当てた新株は約101万株で、これは増資後の保有割合で約9.1%に相当する。同時に、ルーデンHDは兄弟ファンドの「チャイナトラベル2号有限責任事業組合」に対し約101万株分の新株予約権も発行した。

 もともとルーデンHDはアライヴコミュニティという社名で当初は内装工事業を主力としていた。大証ヘラクレス市場に上場したのは2005年のことだ。しかし業績は低迷し、やがて経営権をめぐる内紛が勃発、大株主は目まぐるしく変わった。在日韓国人金融ブローカーや有名アレンジャーの関係先など、不公正ファイナンスの常連が入れ替わり立ち替わり登場。そうした末、経営権を実質的に握ったのは旧菱和ライフクリエイトの創業者で知られる西岡進氏だった。

 投資用ワンルームマンションを手掛ける菱和ライフクリエイトは不動産ミニバブルの頃に急成長したが、暴力団・後藤組が暗躍した「真珠宮ビル」の不正登記事件に巻き込まれて失速。西岡氏は社長の座を追われることとなった。その後、新天地と見定めたのがアライヴコミュニティ。実兄の孝氏を社長に就ける一方、西岡氏本人も直近まで取締役会長の座にあった。ただし、西岡氏はなぜか今年の定時株主総会直前の3月20日に取締役候補を辞退、経営から一歩引くかたちとなっている。辞退の理由は一身上の都合とされる。

ファンドの不透明な動き

 さて、西岡氏が仕切ることとなったアライヴコミュニティ改めルーデンHDだが、低空飛行は続き、このところは2期連続の赤字。そうしたなか、テコ入れのため前述の投資ファンドを頼ったわけだが、その際にぶち上げたのはインバウンド需要を取り込む新規事業だった。訪日した中国人に不動産を買ってもらおうというのである。その点、中国人が主宰する「チャイナトラベル」なるファンドはもってこいだった。実際、株価は好反応。300円前後だったものが、一時は3倍近くにまで噴き上がっている。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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