元国税局職員、さんきゅう倉田です。今一番したいことは「行為計算の否認」です。
相続財産にはさまざまなものがあります。現預金もあるし、不動産もあるし、権利もあるし、貴金属もある。相続は、直系尊属から受けるものがほとんどですが、みなさんは自分の親の相続財産がどの程度あるのかご存じでしょうか。把握していない方もいるかと思います。
昔、親から金(きん)を相続して確定申告したところ税務調査を受け、ほかにも金があるとされ、更正処分となった方がいました。
Aさんは、本人を含む数名で親から財産を相続しました。そのなかには1000万円分の金がありました。Aさんは正直に申告しましたが、のちに行われた税務調査で指摘を受けます。
Aさんの親であるBさんは、金を1億円分ほど購入した事実がある。Bさんの行動範囲から売却先を想定し、そのすべての店で金の売却の有無を調査したが、売却された事実は確認できなかった。また、Bさんが金を売ったという話を家族は聞いたことがなく、売ることもないだろうと考えている。さらに、売ったとすれば必要となる所得税の確定申告も行っていない。よって、金を売却した事実は低いといえる。
また、Aさんは調査担当者から、「金の管理に関与していたことを隠し、家族には金の存在を言わないように口止めしていたので、隠匿する意思を持っていた」と疑いをかけられ、重加算税まで賦課されてしまいますが、Aさんは以下のように、事実と異なると主張しました。
・Bさんの遺言には、「金の全部を相続させる」旨が記載されていたが、「◯◯g」と量も明確に記載され(1000万円分)、ほかに金がないことは明らかである。
・また、調査官が調べた取扱業者に売却の事実がないことをもって、売却がなかったとは認められない。
・自分は金を1000万円分しか知らなかったし、家族に口止めもしていない。