今年中に“これ”をやらないと、無駄に多く税金を払い損する人
今回はNISAについて、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。
亮子「今年は2019年だよね?」
啓子「そうですけれど、どうしました?」
亮子「2014年開始のNISA(小額投資非課税制度)の非課税期間は、昨年末で終わったんだなーと思って」
啓子「もう5年たったのですね。つい先日導入された制度のように感じますが」
亮子「2015年の枠で購入した分は、2019年12月末までに売却するかロールオーバーしないと、恩恵を受けられなくなっちゃう」
啓子「それでは、そのあたりを今一度確認しておきましょう」
2015年分のNISA口座に注意!
NISAとは2014年に開始された制度です。通常の証券口座で資産運用して得た利益に対しては税金がかかりますが、NISA口座で資産を運用して得た利益に対しては税金がかからないという制度です。たとえば、上場株式の売買によって得た利益が10万円だと、約2万円(10万円×20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座を使うと税金が0円となります。この非課税枠で取引をした場合の非課税期間は5年間で、例えば2015年にNISA口座で取引した場合は2019年12月31日までに確定した利益は非課税になります。
NISA口座で購入した株が値上がりしているにもかかわらず、そのまま放置をしてしまっては、非課税効果がゼロになってしまいます。節税につながるNISA口座を利用しているのであれば、非課税期間が終わる際の対応を考えておくことがとても重要です。
非課税期間が終了したときは?
2015年にNISA口座で投資した株式や投資信託などの非課税期間は、5年の期間を迎える2019年12月末(年末は市場が開いていないため、厳密にはその数日前)で終了します。そのため、保有している株式などについて2019年12月までに売却するといった、なんらかの方法を選ぶ必要があります。ここではNISA口座で上場株式を保有したまま2019年12月を迎える場合を想定して、対処方法を検討してみます。
(1)―<1> 12月末までに売却(損失が出ている場合)
保有している上場株式の株価が値下がりしていて、購入時よりも株価が低い場合に株式を売却すると、損失が出ることになります。売却損が出る場合には、売却に伴う税金はかかりませんが、NISA口座で損失を出すのはあまり得策とはいえません。通常の証券口座では、利益と損失を合算することで、利益に課せられる税金が減るという「損益通算」も可能ですが、NISA口座にはその制度はありません。