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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

今年中に“これ”をやらないと、無駄に多く税金を払い損する人

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士

 たとえば通常の口座で10万円の利益が発生し、NISA口座で6万円の損失が発生したら、合算できないので10万円についてそのまま約2万円の税金が課されてしまいます。通常の口座であれば、売却益と売却損を合算した後の利益4万円について約8000円の税金が課されるので、損益通算できるほうが有利となります。

 また、通常の口座では発生した損失が相殺しきれない金額の場合には、翌年に損失を繰り越して翌年の利益と合算することができる繰越控除を利用することができますが、NISA口座で売却した場合には繰越控除の制度を利用することができません。

 そのため、NISA口座で損失が出る場合には、のちほど説明する引き続きNISA口座で保有し続けるロールオーバーという方法か、通常の口座に株式を移して保有し続ける方法を選択するほうが有利となる可能性が高いでしょう。

(1)―<2> 12月末までに売却(利益が出ている場合)

 保有している上場株式の株価が値上がりしていて、購入時よりも株価が高い場合に株式を売却すると利益が出ることになります。NISA口座で株式を売却した場合、売却益に対して税金はかかりません。利益が出ている場合には、売却することで、NISA口座による節税(非課税)の恩恵を受けることができます。

(2)ロールオーバーを利用する(新たに開始するNISA口座の投資枠に移す)

 ロールオーバーとは、新たなNISA口座に株式を移すということです。NISA口座は2023年まで毎年利用可能ですので、2019年に新たに用意されるNISA口座に株式を移すことで引き続き非課税の恩恵を受けることができます。従来はロールオーバーの上限金額が決まっていたのですが、現在は上限が撤廃されていますので、よりロールオーバーを利用しやすくなっています。NISA口座の株式が今後値上がりする見込みなどの理由で、今すぐに売却したくないという方は、ロールオーバーによって新たなNISA口座に株式を移し、より多くの利益が出たところで売却すれば、節税額も大きくなります。

(3)通常の口座(特定口座・一般口座)へ移す

 売却もロールオーバーもしないという場合に、NISA口座から通常の課税される口座へ株式等を移す方法です。NISA口座について、何も手続きをせずにいた場合には、この方法が選択されたものとされ、通常の口座に自動的に移されます。金額は株式取得時の金額ではなく、移管時の株価です。

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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