相続でモメない家族の共通点…「相続対策をどうするか?」より「親子間の信頼関係」
2018年7月、相続に関する民法等の規定、いわゆる「相続法」を改正する法律が成立した。今回の改正は、1980年の改正以来、なんと約40年ぶりの大きな見直しとなるそうだ。改正の目的は、高齢化の進展など社会環境の変化に対応するためとなっているが、その背景には、増加傾向にある昨今の相続トラブルがある。
今回のコラムでは、相続法改正のポイントと相続トラブル事例に基づいた相続対策の難しさをご紹介したい。
「相続法」と「相続税法」は似て非なるモノ!
まず、勘違いしている方も多いようだが(というかわかりにくい)、相続に関する主な法律には「民法」と「税法」の2つがある。前者は、個人間や法人間などの私人に関する権利義務関係等のルールを定めたもの。後者は、租税の賦課や徴収など税金に関する法律の総称を指す。なかでも、相続に関する税法を相続税法という。
今回改正された相続法は前者に分類される。ちなみに数年前、「増税だ!」「相続税がかかる!」と多くの人が相続セミナーに押し寄せて大騒ぎしていたのは、2015年1月以降、基礎控除額が引き下げられるなど後者が改正されたためである。たった一字で大きな違いなのだが、今回の改正で相続税に関する事柄が変更になるわけではないので念のため。
今回の相続法改正のポイントは?
さて、そこで今回の改正の主な内容は、以下の通りとなっている。
要は、相続手続きをスムーズにするために新しい制度を創設したり、相続トラブルを解決したりするための改正だといえる。
(1)配偶者居住権(相続が発生した際に、配偶者が被相続人の所有する不動産の居住権を獲得できる権利のこと)を創設
(2)自筆証書遺言に添付する財産目録の作成がパソコンで可能になる
(3)法務局で自筆証書遺言が保管可能になる
(4)被相続人の介護や看病で貢献した親族は金銭要求(特別寄与料)が可能になる
なお、原則として、改正は2019年7月1日に施行される。ただし、以下、<1>配偶者居住権は2020年4月1日、<2>の方式緩和は2019年1月13日、<3>の保管制度は2020年7月10日施行というようにそれぞれ異なるので注意しよう。