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有馬賢治「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」

日本の就労者、サービス業が7割超に…“高度サービス業国家”化する日本の経済変貌

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

――ですが、繁忙期と閑散期で値段が違うからといって、受けられるサービスの質が変わることは基本的にはありませんよね。

有馬 消費者目線だと、有給休暇が取得しやすい環境になってきた昨今は、閑散期を上手に利用することでコスパのいいサービスを提供してもらえますが、かといってGWの10連休は各地が大変な混雑だったように、カレンダー上の休日にサービスを受ける層が減るわけではありません。売り手側は、繁忙期には通常よりも高いお金を取るわけですから、価格に対する納得感を伝えることが重要です。特に近年はSNSの普及で顧客が繁忙期と閑散期でリピートしてその比較を簡単にネット上へ発信できるようになっていますので、サービスを提供する側は常に同水準のサービスと顧客の納得感を提供する姿勢が求められます。

生産効率の上昇、AI化の進行とともにサービス業も多様化

――サービス業界全体を見渡してみて、市場規模は広がっていますか?

有馬 そうですね。日本の就業者に占めるサービス産業(第3次産業)の割合は、1990年に59.9%だったのに対し、2014年は72.6%と12%以上も上昇しています。これはBtoC(Business to Consumer)企業だけのサービス業を指す数字ではないとはいえ、社会的にサービス業の割合が高くなっており、消費のサービス化が進展しているといえます。

――その背景は?

有馬 これも別連載のなかで何度か説明していますが、ノートPC、スマホ、タブレットが普及しきった今、所有に喜びを見出す「モノ消費」ではなく、経験価値を重視する「コト消費」を求める時代になったことで、それに比例してサービス業も増えているということでしょう。また、農業や工業の生産性が上がったことで、その分の人的コストが抑えられ、サービス業に人材が流れているとの見方もできます。

――ということは、もしAI化が進めば?

有馬 だいぶ先の話になりますが、農業や工業の現場でさらに無人化が進めば、その分サービス業が占める割合はますます上がるでしょう。もちろん飲食店のスタッフや宅配業者、バス、タクシーのドライバーといったもともとサービス業に分類される職種の人たちも機械に取って代わられる可能性が出てきたわけですが、その分新たに生まれる仕事は当然考えられます。それらがサービス業中心である可能性は依然として高いのです。結局、時代が進むごとに今以上にサービスは多様化していくと予想されます。

――ありがとうございました。

(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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