森友問題をめぐる写真偽装問題が、最終章を迎えつつある。国は校舎建設予定地の3m以深の深部から埋設ごみが掘り出されたと説明していたが、その証拠としていた写真には、深部にごみの層が写ってないことがデータ解析により判明した。今回はこの事実報告を中心に、写真偽装問題を振り返り、では、写真に写っていた埋設ごみは、どこから運び込まれ、処分されたのか。今回は森友問題の最終章に入ったことを報告したい。
森友問題は安倍晋三首相夫人の昭恵氏が名誉校長を務める学園に、国有財産の不当な払い下げが行われた点に最大の問題があった。国家の私物化である。すでに2017年2月、森友学園への国有地売却価格が隣接地の販売価格より10分の1であることがわかり、直後に国会で安倍首相は「私や妻が関与していれば、議員を辞める」と発言し、すでに2年3カ月が経過しようとしている。森友問題も確実に最終章に入りつつある。
事件は検察特捜部も捜査したが、市民団体が告発した財務省関係者など38名はいずれも不起訴とされ、これに対して検察審査会は「不起訴不当」の結論を出し、裁判で全貌を明らかにすることを求めている。国は、森友問題の核心点である値引きの理由を「地下深部から新たな埋設ごみが見つかった」とし、その埋設ごみが約2万トンあり、約8億円の撤去費がかかると説明してきた。この説明は国会における調査・議論のなかで、下記のように破綻している。
(1)もともと住宅地だった学園用地は、国も何度も地層の調査を行い、3m以深の地下深部には埋設ごみはないことがわかっていた。
(2)過去に鑑定評価が行われており、12年7月の鑑定評価では撤去費用8437万円となっていた(その分量に該当する埋設ごみの撤去は、第1回目のゴミの撤去で行われていた)。
(3)今回の学園建設にあたって排出された産業廃棄物は約200トン。2万トンの100分の1。それは建設にあたって排出される新築系産業廃棄物であり、埋設ごみはゼロであった。
以上の科学的事実が示されれば、国が9億5600万円の土地を8億2000万円も値引く根拠はなくなったといえる。それに加え、会計検査院も値引きの「根拠が不十分」「適正ではない」と判断した。
では、なぜこの問題の決着がつかず、今日まできてしまったのか。もちろん第一の原因は、国がこうした事実と向き合わず、ひたすら言い訳に徹して説明を避けてきたことにある。例えば、安倍首相は会計検査院の「適切ではない」という報告を受けて、「財務省や国土交通省の官僚が適切と言ってきたからそう言った」と答弁し、「この報告を受けて各省庁が検討するように」と責任逃がれの発言をしている。
そして真相解明が引き延ばされた最大の理由は、国が提出した試掘写真資料にあったと筆者は考える。近畿財務局が撮影した試掘写真資料を見ると、深部から掘り出されたとされる廃棄物が積み上げられた山が、写っていた(写真2)。しかし、もしそれが地下深部から掘り出されたものでなければ、国による大掛かりな偽装となり、森友問題は新たな段階に進展することになる。