すでに国が提出した写真資料の偽装は、表1で示したように「17枚写真資料」「21枚写真資料」とも、次々と見つかり、国会でも指摘されてきた。それに加え今年に入り、写真資料を作成した工事業者(藤原工業株式会社)が、「いい加減に撮影した」「深さは意識しなかった」と写真偽装を認める証言をした。
そして今回、その「21枚写真資料」の内、深部にゴミの層があると報告されていたたった1つの試掘穴には、ゴミの層がないことがわかったのである。データの解析によって、試掘写真資料NO1に記載されていた深さ「1mから3.8m」にゴミの層があるという記述は、まったくデタラメであり、国有地売却における値引きの理由とされた唯一ともいえる証拠資料は、証拠能力を失ったのである。
最後に残った1枚の証拠写真の鮮明画像から、説明書きの偽装がわかる
国が森友学園用地から掘り出したとする廃棄物の山が写真2に写っているが、これらは本当に学園用地の深部から掘り出されたものなのか。それを証拠立てる資料があるのか。
国会での議論後、国交省が改めて提出した試掘写真資料が「21枚写真資料」であり、そこには8カ所の試掘穴が示され、それらの試掘穴から廃棄物が掘り出されたと説明していた。そのなかで地下3mの深部から掘り出したと記載されていた試掘穴は、「A工区No.1」の写真1枚だけであった(写真3)。
この「A工区No.1」(写真3)の写真資料には、「深さ:GL-4000」「ゴミの層:GL-1000~3800の間」(単位はmm)との記載があり、これは1~3.8mの深さという意味である。つまり穴の深さは4mで、1~3.8mの深さにわたってゴミの層があるという説明だった。ところが国が提出した写真を見てもわかるように、穴の中は真っ暗で、その記述を確かめることができなかった。
そこで今回、辰巳孝太郎参院議員(共産党)が国から入手したこの写真のデジタルデータを、市民団体「森友ごみ問題を考える会」が提供してもらい、専門家が濃淡を調整して穴の中まではっきりと見ることができるように解析した。その写真が「写真4」である。穴の深部(3m以深)は独特の地層になっており、ゴミの層はなかった。写っているメジャーには1平方メートルごとに白、黄色、白と交互に色付けされており、そこから穴の深さを見て取ることができた。
この森友学園の土地は、これまで国交省大阪航空局が何度も地層の調査を行って、3m以深では堆積層になっており、埋設物はないことが報告されていた。かつて住宅地として整備する前には、田んぼ等だった同地は、石やコンクリートを投入し、その上に土砂を打ち固め基盤整備していた、そのようにして近年整備された部分は盛り土層や埋め土層と呼ばれ、それらは約3mまでの深さであることが報告されていた。それより深部は、何百年、何千年もの間に堆積されてつくられた沖積層であった。