10月から消費税が10%に引き上げられました。2%ではありますが、食品以外は実質的な“値上げ”です。これに合わせたかのように、同じ10月に値上げした商品があります。火災保険です。多くの保険会社で火災保険が値上げされました。
保険には消費税がかかりません。生命保険や損害保険は消費税がかからない非課税商品とされています。火災保険も消費税がかからないわけで、「税込みの価格が上昇した」というわけではありません。
保険料の基となる料率が引き上げられた
生命保険も損害保険も同じですが、保険料は「保険金に充当する部分」と「保険会社の経費や利益に充当する部分」でできています。保険は、多くの加入者から集めた保険料で、死亡した人の遺族や火災にあった人に保険金を支払います。死亡や火災などの発生する確率を調べて、保険金が賄える「適正な料率」を算出します。それに各保険会社が経費や利益を上乗せして保険料を決めています。
損害保険の場合、「適正な料率」は、損害保険料率算出機構という組織が計算しています。いわば、この組織が算出した数値が保険料の“基”になっているわけです。実際の保険料は保険会社によって異なりますが、それは上乗せしている経費や利益が異なるためです。
2018年5月に火災保険の「適正な料率」が引き上げられました。都道府県や住宅の構造によって異なりますが、平均5.5%の引上げです。それを受けて、各保険会社も保険料を値上げすることにしましたが、そのタイミングが消費税の引上げと同じ2019年10月となったわけです。
値上げが続く火災保険
同機構が算出した料率の引上げは平均で5.5%でしたが、その内訳を見ると、地域や住宅構造によってかなり差があります。若干下がった地域もあれば、大きく上昇した地域もあります。鹿児島県の鉄筋コンクリート造りマンションは約40%も引き上げられました。鉄骨造りの耐火建築物や木造住宅では、熊本県が25%前後の引上げとなっています。実際の保険料となると、さらに大きな値上げとなっているケースもあります。
保険の料率と保険料が引上げとなった原因は、自然災害による保険金の支払いの増加です。2013年に関東甲信地方で雪による大規模な災害となり、2015年には台風で大きな被害が発生しました。災害による被害が拡大して保険金の支払いが増えると、それを賄うのに必要な保険料を引き上げざるを得ません。