日本郵政グループの転落が著しい。かんぽ生命での大規模な不適切営業を端緒に、同グループのゆうちょ銀行の投資信託商品の不適切販売も発覚するなど、常軌を逸した事態になっている。一連の報道では過剰なノルマが一因とされ、日本郵政はかんぽ生命の保険商品販売におけるノルマ廃止を表明するなど、対応に追われている。
指導不足による営業社員の認識不足が原因?
同行と日本郵便は9月13日、「投資信託の不適切な取扱いに関する社内調査結果および今後の対応について」と題するプレスリリースを発表した。70歳以上の高齢者に対する不適切な販売行為の社内調査結果の概要と、今後の再発防止策を以下のように公表した。
「ゆうちょ銀行および日本郵便は、窓販開始(2005年10月)以降、全ての高齢のお客さまに対して、投資信託の個別商品の理解状況等を確認するため、購入に係る申込受付前に管理者による承認を実施してきたところです。
その後、日本証券業協会から高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン(2013 年10 月)の考え方が示されて以降は、勧誘前に状況を確認し、勧誘すべきでないお客さまは勧誘しないとの趣旨を踏まえ、高齢のお客さまに対して、申込受付前に加えて、新たに勧誘前にこの観点からの管理者承認を行うことを社内規則に追加していたにもかかわらず、この取扱いを多数怠っていたというものです。
【調査結果】
違反件数(割合※1) 違反店・局数(割合※2)
ゆうちょ銀行 17,700 件(43%) 213 店(91%)
日本郵便 1,891 件 (7%) 187 局(12%)
※1 調査対象の高齢者対面取引件数に対する割合
※2 投資信託取扱店舗数に対する割合
発生原因・背景としては、ゆうちょ銀行、および日本郵便本社の指導不足による営業社員(管理者含む)の認識不足等があり、社員のコンプライアンス意識を向上させるために、研修、マニュアルの改正等にゆうちょ銀行、および日本郵便が全社を挙げて取り組んでまいります」
認知症の高齢者に外貨建て保険販売
一方、ゆうちょ銀行の内部資料を入手した西日本新聞は今月5日、『認知低下70代に1億円保険 ゆうちょ銀 家族抜き、取り消しも拒否』と題する記事を掲載した。
同記事では、「79歳の母が500万円の外貨建て保険を契約していた。認知症の母にそのようなリスク商品を販売するのは違法ではないか」「貯金の手続きに行ったら強引に投資信託の話をされ、訳も分からないまま契約に至ってしまった」などという被害者の声を紹介。投資信託や外貨建て保険契約で高齢者から苦情が多数寄せられていることを明らかにした。