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GDP年6.3%減、消費増税は最悪だったと判明…安倍政権が「景気後退」を招いた可能性

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
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安倍晋三首相(安倍晋三首相)

 内閣府が17日に発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値が、物価の変動を除いた実質で前期比1.6%減、年換算で6.3%減と5四半期ぶりにマイナスとなった。本稿では、その原因は何か、安倍政権の経済政策に原因はあるのか、そしてすでに景気後退局目に入ったと考えるべきなのかを検証したい。

 GDPの前期比6.3%減(年率換算)というのも酷い数字だが、その内訳の動きを見ると、民間消費11.0%減、民間住宅10.4%減、民間企業投資14.1%減、公的需要1.7%増、輸出0.4%減、輸入10.1%減と、民間部門は全敗の酷い状況だ。19年10月と11月の経済統計はほぼ全滅といっていいほど悪い数字だったので、6.3%減となっても不思議でない。もっとも、多くの民間エコノミストの予想より悪い数字だった。

 政府や日本銀行もこうした悪い数字を予想し、事前説明で消費増税による景気悪化を認めず、台風や暖冬の影響を強調していた。実際、西村康稔経済再生担当大臣や黒田東彦日銀総裁はそうした説明をしていた。マスコミもあえて反論せずに、台風や暖冬の影響とともに駆け込み需要の反動減を要因として挙げていた。

 だが、こうした説明は正しくない。昨年10-12月の各地方の景気動向指数もあるが、それは台風被害のあった地域もなかった地域も同じように悪い。また、暖冬の影響は12-2月までの平均気温が高いことをいうが、今回発表になったのは10-12月期のGDPであり、今の段階の速報では、12月の統計数字は含まれていないために、暖冬の影響はほとんどない。

 また、今回のGDP推計では、消費増税前の駆け込み需要とその反動減をかなり除去するように行われているので、反動減の影響は大きくない。実際にも駆け込み需要とその反動減は前回の消費増税時ほど大きくない。マスコミは役所のいいなりになっていて、わかっていないのではないか。

 こう考えると、消費増税により消費減となり、それがGDP全体の足を引っ張ったとみるほうがしっくりくる。

2期連続マイナス成長なら景気後退

 それは、過去のデータとの比較をしても納得できる。1994年以降、各四半期GDP前期比(年率換算)を調べると、今回の6.3%減は4番目に悪い数字だ。ちなみに、ワースト5は以下となる。

(1)09年1-3月期:17.7%減

(2)08年11-12月期:9.4%減

(3)14年4-6月期:7.4%減

(4)19年10-12月期:6.3%減

(5)11年1-3月期:5.5%減

(1)と(2)は08年9月のリーマンショック、(3)は14年4月の前回消費増税、(4)は19年10月の今回の消費増税、(5)は11年3月の東日本大震災によるものだ。統計数字はウソをつかず、リーマンショックでは輸出減から始まりGDPが低下し、消費増税ではもろに消費に悪影響を与えてGDPを低下させているのがはっきりわかる。

 いずれにしても、過去のデータから見ると、GDPを大きく低下させたのは、リーマンショック、消費増税、東日本大震災だった。このうちリーマンショックと東日本大震災は外的要因であり、不可避であったが、消費増税は政治判断の結果であり、避けようと思えばできたはずだ。

 しかも、今回の10-12月期は新型肺炎の影響はない。今年1-3月期の数字は5月中旬に公表されるが、再びマイナスの可能性もあり、2期連続マイナス成長なら景気後退になる。昨年の消費増税は最悪のタイミングだった。

(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授

高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授

1955年、東京生まれ。80年、大蔵省(現財務省)入省、理財局資金企画室長、内閣参事官など歴任。小泉内閣、安倍内閣では「改革の司令塔」として活躍。07年には財務省が隠す「埋蔵金」を公表、08年に山本七平賞受賞。政策シンクタンク「政策工房」会長、嘉悦大学教授。
株式会社政策工房

Twitter:@YoichiTakahashi

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