中国人観光客激減で老舗旅館が経営破綻…新型コロナ、日本企業への影響拡大で倒産増加かの画像1
春節直前の1月24日、上海から羽田行きの便に乗ってきた中国人観光客たち(写真:Kodansha/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本企業にも打撃を与えている。愛知県蒲郡市の観光旅館「冨士見荘」は近く裁判所に破産手続きの開始を申請する見込みで、新型コロナウイルスの影響で経営破綻する初のケースとなる。収益の柱だった中国人観光客のキャンセルが相次ぎ、1月下旬に中国政府が海外への団体旅行を禁止したことが決定打になったという。

 東京商工リサーチの調査によると、新型コロナウイルスによる企業活動への影響について、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」「現時点ですでに影響が出ている」と答えた企業が約7割(66.4%)を占めるなど、企業活動への影響が顕在化している。「多業種にわたって影響があり、収束の見通しが立たないことから、今年の倒産件数は前年を上回るのではないか」と語る、東京商工リサーチ情報本部情報部の原田三寛部長に話を聞いた。

サプライチェーンの乱れが製造業を直撃か

――新型コロナウイルスの影響で、愛知・西浦温泉の旅館の経営破綻が明らかになりました。

原田三寛氏(以下、原田) 1956年設立の冨士見荘は三河湾を望む景観と新鮮な魚介類を売りに、2005年12月期には約5億5000万円の売上高を計上していましたが、その後、業績不振により資金ショートを起こしていました。近年は中国人ツアー客の受け入れに注力していましたが、新型コロナウイルスの影響で中国からの団体ツアー客のキャンセルが相次ぎ、先行きの見通しが立たなくなったことから事業継続を断念しました。

 このように、インバウンドに売り上げを依存しているようなケースは、今回の影響が資金繰りに直結します。今後、短期的には体力のない宿泊業、小売業、飲食業などで経営破綻が増えると見ています。

――1万2348社の国内企業を対象にした調査結果の概要を教えてください。

原田 新型コロナウイルスの影響について、66.4%が「今後影響が出る可能性がある」「現時点ですでに影響が出ている」と回答しています。「すでに影響が出ている」と答えた企業のうち、35.9%が「現地サプライヤーからの仕入が困難となった」と回答。また、感染拡大による懸念については、51.3%の企業が「中国の消費減速、経済の低迷」を挙げています。

 企業規模別では、「すでに影響が出ている」は大企業(資本金1億円以上)で31.5%、中小企業(同1億円未満)は20.6%。グローバルに事業を展開し、中国との取引密度が高い大企業のほうが影響が大きいことがわかります。

――産業別では、どのような結果でしょうか。

原田 卸売業、運輸業、製造業で「すでに影響が出ている」が、それぞれ3割近くを占めました。「今後影響が出る可能性」は製造業が51.7%で最多、次いで卸売業の47.3%です。国際的なサプライチェーンを構築する製造業や、価格競争の面から国境をまたいで商品を輸入する卸売業などへの影響が色濃く出たかたちです。宿泊業や旅行業が含まれるサービス業他は38.3%でした。

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