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大戸屋、株主の9割はコロワイドの乗っ取りに賛同…現経営陣では抜本的改善は困難か

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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大戸屋の店舗(「Wikipedia」より)

 定食店「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(以下、大戸屋)が岐路に立たされている。同社は5月25日、2020年3月期連結決算の最終損益が11億円の赤字(前期は5500万円の黒字)に転落したと発表した。合わせて今期(21年3月期)中に12店を閉鎖することも発表。不採算店を閉店し、収益改善を図る。

 売上高は4.5%減の245億円だった。たび重なる値上げなどで顧客離れが起きていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。20年3月期の既存店売上高は6.6%減だったが、3月が前年同月比20.7%減と大きく落ち込んだことが響いた。2月は3.2%減だった。販売不振が影響し、営業損益は6億4800万円の赤字(前期は4億1400万円の黒字)だった。

 大戸屋の不振は止まらない。4月の既存店売上高は48.4%減と大幅マイナスとなった。前年割れは同月まで15カ月連続だ。特に問題となっているのが、値上げによる「価格の高さ」だ。昨年4月のメニュー改定では定食の一部を値上げしたほか、税込み720円と安価で人気のあった定番商品「大戸屋ランチ」を廃止したことで顧客離れが加速した。昨年10月に大戸屋ランチを復活させるなどメニュー改定を実施して客足回復を試みるも、売り上げは想定した水準には回復しなかったという。依然として厳しい状況が続いている。

 こうした厳しい状況のなか、大戸屋に手を差し伸べたのが外食大手のコロワイドだ。居酒屋を中心に出店を重ねて成長してきたコロワイドは、これまで焼肉店「牛角」や回転ずし店「かっぱ寿司」などの運営会社をM&A(合併・買収)で傘下に収めることで、さらなる成長を果たしてきた。

 そのコロワイドが昨年10月に、大戸屋の発行済み株式の18.67%を大戸屋の創業家から取得し、同社の筆頭株主となった。

 両社は協業を通じて大戸屋の業績回復を模索した。大きな問題となっていたのが、商品の価格の高さだ。大戸屋は「店内調理」を売りとしているため、手間がかかる分、昨今の人手不足を背景とした人件費上昇がコスト増につながっていた。大戸屋はこうしたコスト増を価格に転嫁することで対応してきた。だが、それにより「大戸屋は高い」という悪いイメージが定着してしまい、客離れが起きるようになった。そのため、協業を通じて効率化を図り、手ごろな価格にすることが期待された。

コロワイドの大戸屋乗っ取り計画、株主は賛同

 だが、ここにきて両社の関係が悪化し、協業による価格の引き下げに黄色信号が灯っている。6月25日に開催予定の大戸屋の株主総会で、コロワイドが経営陣の刷新を求める株主提案を行うと大戸屋に通告したのだ。将来的には大戸屋の子会社化も目指すことも示している。これに対し大戸屋の取締役会は、「当社取締役会を実質的に支配しようとしている」「子会社化した後の具体的な経営方針が見えない」などと反発し、両社の対立が激化している。

 これはコロワイドによる大戸屋の「乗っ取り」ともいえる。コロワイドは大戸屋の業績が回復しないのは経営陣のせいだと断罪。経営陣を刷新するほか、大戸屋を子会社化することでコロワイドが持つ経営資源を活用して大戸屋のコストを削減することで、業績を回復させることができると主張する。こうした主張を他の株主に訴えて株主提案を通したい考えだ。それにより大戸屋の取締役会を支配し、大戸屋を傘下に収めようとしている。

 コロワイドは大戸屋の乗っ取り計画を着々と進めてきたようだ。コロワイドは他の大戸屋株主に対し、大戸屋のコロワイドグループ入りに関するアンケートを3月23日から約2万4092人に発送したという。

 大戸屋の株主数は、同社のホームページによると、3月末日時点で2万5555人となっているため、大方の株主に送付したとみられる。有効回答数は1万8891人で、そのうちの9割超から賛同を得たという。

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