巨大利権持つ国交大臣、公明党が独占の裏事情…菅首相と創価学会の“親密すぎる関係”
菅義偉内閣が発足し国土交通大臣に赤羽一嘉衆議院議員が再任することとなった。国交省は年間約7兆円の公共工事予算の配分を決める巨大利権官庁であり、最大与党の自民党議員が就任するのが当然のように思われるが、公明党は第二次安倍内閣が発足した2012年12月から一貫して国交相を輩出している。これは公明党の自民党への選挙協力に対する論功行賞の面が強いが、自民党の一部ではポスト奪還の声も根強い。
「公明党には閣僚ポストを2つやってもいいから、国交相を取り返すべきだ」
あるベテラン自民議員はこう話す。国交省は道路や港湾、空港など公共工事を司る役所であり、かつては自民党が定位置を占めていた。都会ならいざ知らず、地方は土木工事業者が雇用を維持している面が大きく、地方自治体からの陳情が後を絶たない官庁の筆頭格。票田や人気の確保のために不可欠な閣僚ポストであることは間違いない。自公連立政権になってから、一部の時期を除いて公明党が国交相を占めている。
なぜ自民党は公明党にそれほど重要なポストを明け渡したのか。全国紙政治部記者はこう解説する。
「基本的には選挙協力への御礼です。公明党は各小選挙区で最低数万票動かせると言われており、組織票としてはもっとも頼りになる。最近の自民議員が選挙の際の泥臭い仕事を嫌う傾向が強まっており、近年はさらに依存が強まっています。公明党の支持基盤は主に都市部の低所得層ですから一見、厚労相などが適任とも思えますが、今後は福祉を削る方向に行かざるを得ないため、支持層に嫌われる危険がある。その点、国交相は道路をつくったりしてわかりやすく感謝されるため、うってつけのポストだったというわけです」
自民党議員が次に国交相になる時は連立解消?
次の理由が巨大利権を左右できるポジションなだけに、クリーンさが求められるということもある。そもそも、2001年に国交省が発足した際の初代大臣は保守党の扇千景(林寛子)元参院議長で、自民党議員ではなかった。当時、第一次橋本龍太郎政権で建設相であった故中尾栄一衆議による汚職事件でついた「自民党=ダーティーで汚職まみれ」というイメージを払拭するためであった。
公明党は宗教政党であり、贈収賄は法度である。「民主党による政権交代が失敗し自民一強がさらに強まった今となっては、自民党議員が国交相に就任した瞬間に汚職事件が起きると言われている」(先の政治部記者)ため、これまで自民党内からも反対意見が表に出ることはなかった。
ただ、冒頭のベテラン自民議員の言うように「美味しいポスト」であるがゆえに、自民党の一部からも「クリーンがいいなら環境相と、一億総活躍担当相なんかの『担当相』ポストを2つくらい割り振ったらいい」との声も根強い。実際、環境相には現在公明党で幹事長を務める斎藤鉄夫衆議が就任したこともある。
しかし、菅首相は2010年の参院選以降、公明党の母体の創価学会で選挙対策を一手に担う広宣局長の佐藤浩副会長と昵懇な上、自民党の二階俊博幹事長も選挙に勝つ上で組織票の重要性が骨身にしみている以上、「国交相ポストを奪還する可能性は極めて薄いと言わざるを得ず、自民党議員が次に国交相になる時は連立解消という相当シリアスな状況だろう」(先の政治部記者)。
衆院解散が近いとされるなか、予想される内閣改造でも公明党は国交相ポストを手放さないだろう。
(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)