公明党が“参院選ショック”から抜け切れないでいる。7月の参院選で公明党は選挙区7、比例区7の合計14議席を獲得。3年前に続き、過去最高の議席獲得で、一見、大勝利のように見えるが実態は違う。議席こそ目標を達成したものの、全国の比例票は大幅減。3年前の参院選から104万票減の653万6336票となったうえ、2017年の衆院選に続いて、目標の700万票を割り込んだ。
この「700万票ライン」は公明党や最大の支援団体である創価学会にとって大事な数字だ。「雨が降っても槍が降っても絶対に投票に行く組織票」が700万票あり、これに運動を拡大させ、800万票、900万票と積み上げていくのが、公明党・創価学会の選挙なのだが、基礎票の700万票すら達成できないということは、組織の弱体化を意味する。参院選で明確となった深刻な事態に、組織は途方に暮れているというのが現状なのだ。
この影響がもろに出たのが、8月25日に投開票された埼玉県知事選だ。事実上の与野党一騎打ちの構図の下、自公が推薦したスポーツライターの青島健太氏が現職の上田清司知事と野党4党が支援した元参院議員の大野元裕氏に敗れた。
当初は非自民系の元参院議員・行田邦子氏も立候補予定で、三つ巴の構図の下、野党票が大野と行田で割れると予想された。そのため、知名度のある青島氏が俄然有利で圧勝予測だった。ところが、告示直前に行田氏が体調不良を理由に出馬を取りやめたことで、状況は一変。告示後は青島氏と大野氏が大接戦となったのだ。
そこで、投開票1週間前に青島陣営が学会にテコ入れを頼んだのだが、結局「学会はほとんど動かなかった」というのである。
「今年は統一地方選もあったので、この半年は選挙一色で、組織はただでさえ疲れている。そのうえ参院選であれだけがんばったのに比例票が伸びなかった。組織は徒労感でいっぱいです。そんなところに、埼玉県知事選で号令がかかっても、幹部クラスは動いたとしても、下は反応が鈍い。ましてや、組織の外に広げる運動なんて、やるわけがありません。加えて、8月は夏休みです。創価学会では夏休みはみんな本当に休みますから」(創価学会関係者)