伊勢丹新宿店の凋落…店員が客に挨拶せず、商品探す客を無視して私語、客より多い店員の画像1
伊勢丹新宿本店(「Wikipedia」より/Kakidai)

 売り場を歩いていても「いらっしゃいませ」が聞こえない。茶髪のやる気のない学生がレジに立っているコンビニに来たとの錯覚も覚える。接客の基本ともいえる挨拶すらないのは、世界トップレベルの老舗百貨店、伊勢丹新宿店だ。

客がいるのに私語する従業員

 伊勢丹関係者によると、「商品を探しているのに寄って来ず、従業員同士が私語をしていた」「無視された」「感じ悪い」などの苦情が寄せられている。特に苦情が多いのは「メンズ館」。メンズ館とは、「男の新館」をリモデルして2003年にオープンした、紳士服などを集積した売り場だ。

 ある日のメンズ館1階。客数よりも従業員のほうが多く、冒頭のように「いらっしゃいませ」を言わない。従業員の覇気が感じられない上、2年前のリニューアルのせいか、ネクタイなどのアイテム数も減り、おもしろみを感じられない売り場と化していた。ちなみに、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズのホームページには「挨拶は社会人の基本です。挨拶がきちんとできない大人は、どのような場面でも信頼されません」と記載されている。

売り場を回らない(?)社長

 伊勢丹と三越を運営する三越伊勢丹をめぐっては、クーデターによる大西洋・前社長の失脚、店舗閉鎖、社員の早期退職など明るい材料が乏しい。クーデターを制して社長に就いた杉江俊彦氏はデジタル化に注力しているが、まだ軌道に乗っているとはいいがたい。

 カリスマ経営者として知られる前社長の大西氏は頻繁に店頭を回り、「顧客や従業員のことを重視」(三越伊勢丹関係者)していたが、杉江氏は回る頻度が明らかに少ないという。同氏は新宿店肝煎りの売り場を視察した際も「あまり質問もせず興味がなさそうだった」(同)。

 杉江氏は昨年3月、新型コロナウイルスが感染拡大するなか、大きな判断ミスを犯した。同月末の週末、都などが外出自粛を要請したことを受け、他の大手百貨店が首都圏で臨時休業に踏み切ったなか、伊勢丹と三越は営業を継続し、従業員や顧客から顰蹙を買った。三越伊勢丹関係者は「従業員のことを最優先に考える大西さんだったら絶対に休業した」と執行部を批判。この件は統治能力を著しく欠いている証左といえる。

 従業員からはマスクもろくに配布されなかったとの恨み節も聞かれ、不満が噴出。士気低下は否めない。杉江氏は4月1日に社長から会長に退くことが決まり、後任には岩田屋三越社長の細谷敏幸氏が就任する。少子高齢化に加え、コロナで百貨店が苦境に立たされている中、老舗の三越伊勢丹が明確な未来像を描けるのか。執行部と従業員の間に不協和音が生じている中、新社長の手腕が早速問われそうだ。

(文=編集部)

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