政府、コメ価格“つり上げ”に税金3400億円投入の暴挙…飼料用米のほうが高く?の画像1
農水省の公式YouTubeチャンネルより

 政府・与党はコメの価格を維持またはつり上げるため、3400億円の血税を投入することを決めた。コロナ禍に伴う外食自粛などを受け、コメの消費が激減し、価格が低迷。本来、コメの値段が下がることは歓迎すべきことだが、農業票に依存する自民党にまたしても政策が歪められてしまった格好だ。

衆院選、東北は完敗か

 最近、自民党からは「コメの値段が下がれば地方経済が疲弊する」(中堅議員)という声がよく聞こえてくる。第1次産業が中心の地方でコメの卸売価格の下落が続けば、農家の所得が減り、金回りが悪くなる結果、景気が冷え込むというロジックだ。

 最近の価格動向を確認すると、2020年に収穫されたコメの取引価格(60キロ当たり)について、今年2月は昨年9月に比べて約2%減の1万4844円。直近で米価が最も高かった12年産米よりも10%超低い計算になる。東京都や大阪府などに「まん延防止等重点措置」が適用され、再び飲食店は時短営業を余儀なくされている。このため、コメの需要がさらに鈍り、取引価格の低下傾向が続く可能性が高い。

 自民党農林族議員は「菅義偉首相の下で選挙は戦えない。このままではコメ所の東北・北陸は完敗だ」と肩を落とす。特に東北や甲信越は環太平洋経済連携協定(TPP)などへの根強い不信から、自民党の基盤が脆弱だ。

 また、消費が回復しないままだと、在庫が増え続けるため、21年産米の価格は20年産よりもさらに安くなる可能性がある。21年産の作付面積の大幅削減が実現できなければ、来年の参院選で改選を控える野上浩太郎農相(富山選挙区)も「落選する可能性は大いにある」(与党議員)との見方もある。

 農業票頼みの議員らは自民党会合などで「今年は選挙がある」と声高に叫んでおり、コメ関連の予算増額圧力が日に日に高まっている。今年度は3400億円が投じられるが、来年度はさらに増える可能性もある。

主食米よりもエサのほうが高い?

 政府・与党は3400億円の巨額予算を使って、どんな対策を行うのか。それは一般国民には理解しがたいあきれた内容だ。コメ余りを解消させようと、作付面積を減らすため、人間が食べる主食用米よりも家畜が食べる飼料用米を作るほうが手取り収入のアップにつながる政策を中心に据えている。消費者からは「安いほうがいいに決まっている。意味がわからない」(30代主婦)とひんしゅくを買っている。

 キャベツやリンゴなど他の農作物は当たり前のように市場原理が働き、作りすぎたら価格が下がる。コメも18年産米から減反政策が廃止され、農家の自由意志に基づき生産ができるようになった。しかし、政治による過度な介入は続いており、市場メカニズムもへったくれもない。飼料用米を作るほうがお得という政策は当面も続く可能性が高い。国民の農政への不信は募るばかりだ。

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