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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(13)

巨額赤字ANAHD 、新執行役員に8人出世で社内に恨み節…「上級管理職」急増に不満充満

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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ANA・ボーイング777-200(「Wikipedia」より)

ANAホールディングス(HD)の社長に片野坂真哉氏が就任してから、やたらに上司が増えて意思決定が遅くなり、スマートな組織とは程遠くなった」

 こう指摘するのは、主要事業会社の全日本空輸(ANA)の現役地上職社員だ。現在の片野坂体制は2015年4月から始まったが、人事政策には疑問符がつくところが大きい。ANAで男性の上級管理職(部長級以上)が急増しているのだ。同社が公開する人事データに基づいて作成したグラフも参照しながら、説明していこう。

巨額赤字ANAHD 、新執行役員に8人出世で社内に恨み節…「上級管理職」急増に不満充満の画像4

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 グラフから明らかなように、部長級以上のポストは片野坂体制が始まった直後の16年には512人だったのが、2020年には676人と164人も増えている。一般的に管理職増加の原因は職員数の増加だが、今回はそんなに単純な理由とは違うようだ。

 確かに従業員数は16年の1万5739人から20年の1万7392人と約1600人も増加しているが、これはほぼすべてCAの増加分だ。管理職全体の数は2773人から2880人と107人増加しているが、女性管理職が338人から439人と101人増加しているため、管理職の増加分も主にCA管理職といった女性の増加分ということになる。つまり、片野坂体制になってからANAは管理すべき職員が増加したわけでもないのに、男性の部長級以上のポストばかり増やしてきたというわけだ。

 ある現役パイロットは「名ばかり管理職の増加だ」として、以下のように解説する。

「パイロットを統括する部署であるフライトオペレーションセンター(FOC)内でも、それぞれの部でこれまで1、2人だった副部長のポストを7、8人に増やした部もあります。FOCの話に限っていえば、管理職にしてしまえば組合との協定から外れ、それよりも厳しい会社の規定で仕事をすることになります。

 例えば、インド日帰りを管理職4人(行き担当2人、帰り2人)で行かせるなど、組合員ではできない過酷な業務を行わせることができるというわけです。あとは報酬制なので、一般企業における8時間以上超勤した場合の残業手当も出ません。こういう会社のコマとして使えるメリットが会社側にあるので、ANAHD全体で管理職を増やす傾向にあるというわけで、下っ端の管理職は本当に辛そうです」

 これはパイロットの話だけではない。CAの管理職についても名ばかりで実権がほとんどないことはすでに本連載でご紹介した通りだ。ANA広報は今回の部長級以上の管理職増加を「グループ事業拡大のため」と説明するが、地上職からも「部長を筆頭に、部付部長、副部長、担当部長と、部長級ポストが乱立して誰が何をしているのかわからない」との不満が上がるのも当然だろう。

増加した社員の約8割はCAだが管理職はたった3%増、パイロットはほぼ変化なし

 そもそも、16年から5年間で増加した社員の85%は女性CAなのだから、女性管理職もそれに応じて増やさなければいけないはずなのに、割合的には16年の12%から20年の15%とたったの3%しか増えていない。これでは、約1500人も増えたCA相手に管理職CAの負担は重いままだ。その一方で、部長級以上の管理職721人のうち、男性は676人と9割以上を占めており、明らかにアンバランス。ANAグループの「男性総合職を過度に優遇する体質」が伺える。

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