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コンビニの深すぎる闇…異常な「コンビニ会計」のカラクリ&本部が強気な理由とは?

文=沼澤典史/清談社
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「gettyimages」より

 人手不足に悩まされる一方で、本部だけが儲かるオーナーの“奴隷契約”や季節商品の大量廃棄などが問題となっているコンビニ業界。世論を受けて少しずつ変わり始めているようだが、現実はどうか。コンビニの問題点や改善策を、『コンビニの闇』(ワニブックスPLUS新書)の著者で愛知大学法学部准教授の木村義和氏に聞いた。

本部だけが儲かる「コンビニ会計」のカラクリ

 24時間365日開いていて、食品から日用品までだいたいのものは揃うコンビニ。大変便利な存在で、今やコンビニなしでは我々の生活は回らないと言っても過言でない。しかし、木村氏はそんなコンビニの持続可能性に疑問を投げかける。

「店舗数を増やし、チェーン全体の収益を上げていく従来のビジネスモデルは限界に達しているといえます。それを示すように、大手コンビニ各社はこれまでの出店ペースを見直す考えを示しています」(木村氏)

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『コンビニの闇』(ワニブックスPLUS新書/木村義和)

 本部が絶え間なく出店を続けてきた裏で、ワリを食っていたのはフランチャイズ加盟店のオーナーたちだ。本書の中で木村氏は、過酷なオーナーたちの勤務実態とコンビニ業界の構造的な問題を指摘している。

「問題のひとつは24時間営業の強制です。加盟店は原則24時間営業をせねばならず、本部と特別な合意がなければ時短営業は認められません。ショッピングモール内の店舗などはモールの休館日や営業時間に合わせられますが、加盟店の大多数は路面店なので、時短営業は不可能に近い。これにより、オーナーやその親族は過重労働を強いられています」(同)

 月の残業時間の過労死ラインは80時間だが、コンビニ加盟店オーナーの労働時間は1週間で128時間というデータもあるという。これは、月単位で計算すれば過労死ラインをゆうに超える労働時間だ。加盟店負担の人件費、粗利益の45~76%という高額なロイヤリティなども重なり、そもそもオーナー自ら働くことでしか利益を生み出せない契約になっている。

「ロイヤリティについては、『コンビニ会計』と呼ばれる特殊な会計法が関係しています。コンビニ会計は“廃棄を原価に含ませない”という特徴があり、これにより廃棄ロス(廃棄による損失)は加盟店の負担になります。つまり、本部は廃棄がいくら出ても痛くもかゆくもない。むしろ、廃棄が出ても加盟店に大量の発注をさせたほうが儲かる仕組みとなっているのです」(同)

 たとえば、販売価格100円(原価70円)のおにぎりを10個仕入れ、8個売れた場合、ロイヤリティが60%とすると、一般的な会計ではロイヤリティ60円、加盟店収益40円となる。しかし、コンビニ会計ではロイヤリティ144円、加盟店収益マイナス44円となってしまうのだ。

恐ろしい契約更新問題とドミナント戦略

 このようなコンビニ会計による異常な構造は見切り販売(値引き)の禁止につながり、食品ロス問題にも影響している。また、コンビニのいびつさはほかにもある。

『コンビニの闇』 廃棄が出るほど親会社は儲かる。あなたがいつも利用する店のオーナーたちの悲痛な叫びを徹底調査・検証! amazon_associate_logo.jpg

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