「従業員の命はどうでもいいのか」 三越伊勢丹、優柔不断な経営陣に社内から呆れ声続出の画像1
伊勢丹新宿本店(「Wikipedia」より/Kakidai)

 4月に発足した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の新体制は、従業員が呆れるほど脆かった。5月12日以降の緊急事態宣言延長を踏まえた営業体制の見直しをめぐり「優柔不断ぶり」(関係者)を発揮。店舗関係者は「従業員の安全と命を守るなんて大層なこと言っておいて呆れる」と怒りをぶちまける。

モラルハザードが横行

 3度目の緊急事態宣言で槍玉に挙げられた百貨店業界。業界は「安全対策はしっかり行っている。これまでもクラスターは発生していない」と、休業へ突き進む政府に猛反発したが、抗いきれず泣く泣く受け入れた。

 しかし、営業継続が認められた「生活必需品」の線引について、定義がないため拡大解釈が横行。3度目の緊急事態宣言が発令された4月25日以降、食料品にとどまらず、婦人用品の売り場を開く百貨店もあり、「モラルハザード」に陥った。

 溜まりに溜まった業界の不満に配慮し、政府は緊急事態宣言を延長する際、5月12日以降は休業ではなく、時短営業を要請。一件落着かと思いきやとんだ誤算が生じた。それは東京都が百貨店に対し、引き続き休業を求めたためだ。

一転して再々拡大

 少しでも営業範囲を拡大したい各社ともライバルの動向をうかがう神経戦が続いたが、高島屋は多くの売り場を再開するなど先行。三越伊勢丹HDは昨年春の自粛要請期間中に営業を続け、従業員も含め各方面から大バッシングを浴びたことがトラウマとなり、世間の反応を恐れてか、拡大はごく一部にとどまった。従業員に知らせたのは、再開の2日前である5月10日だったという。ある従業員は「これだけ時間を使っても決められないなんて、優柔不断な会社だ」と執行部を批判する。

 三越伊勢丹HDは高島屋などに先を越されて焦ったのか、一転して、5月15日から婦人服、紳士服なども再開の対象とした。同社は12日に行った21年3月期決算説明会ですでに布石を打っていた。

 一部報道によると、同社は決算説明会で、同業他社、顧客要望などを考慮し、今後も柔軟に対象範囲を拡大するとの趣旨を説明。休業が5月末まで続くと、22年3月期の売上高が290億円減少し、営業利益が37億円消失するという「大人の事情」(事情通)が背景にあるためだ。

 関係者は「休みが削られた。従業員の命はどうでもいいのか。暇を持て余した客が散歩がてらフラフラ来てる」と憤りを隠さない。従業員へのケアが必要だ。

 東京都は、高級衣料品などは生活必需品に当たらないとして、休業を求める通知を発出している。これを受け、大手百貨店では、再開したばかりの高級ブランド品売り場を閉じるなど、またしても混乱が広がった。

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