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クボタ、コロナ禍で利益151%増の強さの秘密…建機メーカーからソフトウェア企業へ変身

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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クボタのサイトより

 農機・小型建機メーカーであるクボタの業績が回復している。2021年1~3月期の連結決算では、純利益が前年同期比151%増の520億円だった。その背景には、コロナ禍の発生によって米国などで郊外に戸建て住宅を買い求める人が増えたことで、特に海外市場におけるトラクタや小型の建機需要を拡大させたことがある。

 短期的に、同社の業績は堅調に推移する可能性がある。欧米ではワクチン接種が進み、経済が正常化に向かう。経済対策としての公共工事の実施や人々の屋外活動の活発化は、クボタにとって追い風だ。

 ただ、中長期的に考えると同社を取り巻く不確定要素は少なくない。その理由の一つとして、世界全体で脱炭素への取り組みが加速していることがある。また、農業分野でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進み、AI(人工知能)やドローン、データ分析の重要性が高まっている。そうした変化にクボタがどのように対応し、新しい成長事業を確立するかに注目したい。

クボタの成長を支えた超小型トラクタのヒット

 1890年に鋳物メーカーとして創業したクボタは、水道関連の金属製品の製造を中心とするインフラ関連企業として事業体制を整えた。その後、クボタは鋳造技術を生かして発動機(エンジン)の生産に進出し、トラクタなどの農機や、小型建機、産業用のエンジンメーカーとして成長した。

 クボタの成長に大きく貢献したのが、超小型トラクタである「ブルトラ」のヒットだ。第2次世界大戦後、日本は食糧確保のためにコメの生産を重視した。戦後の復興が進み食糧需要が高まる中で、クボタは日本における水稲耕作の機械化(効率化)を目指してトラクタ開発に取り組んだ。その結果、1971年に発売されたブルトラは、四輪駆動がもたらす作業効率の向上と、耐久性の高さや故障の少なさが高く評価されてヒットした。それが、世界の主要農機・小型建機メーカーとしてのクボタの成長を支えた。

 その後、クボタは海外事業を強化した。具体的に、米国のトラクタ市場への進出に加え、都市部での工事作業の効率化や環境への配慮が高まる展開を念頭に、小型の油圧ショベルであるミニバックホーなど小型建機の海外販売を強化し、海外生産体制も整えた。世界のミニバックホー市場で、クボタはトップのシェアを誇る。また、タイなどのトラクタ市場でもクボタのブランド競争力は高い。

 また、農機・小型建機事業に加えて、クボタは水および環境関連の事業にも注力してきた。機械に加えて、環境関連の事業を運営していることは、クボタの特徴だ。その根底には、創業以来、同社が環境面の技術向上が、企業としての社会的責任を果たすために不可欠であるとの価値観を重視してきたことがある。別の見方をすれば、トラクタのヒットなどによって同社が世界の需要を獲得し、株主などの利害関係者の要求するリターンを実現したことが、機械と水・環境インフラ事業の両立を支えている。

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