日本マクドナルドが絶好調だ。1年以上に及ぶコロナ禍のなかで、中期経営計画に則り適切な取り組みを着実に継続した結果といえよう。
5月13日に発表された2021年12月期第1四半期(1-3月)決算短信によると、売上高は758億9100万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は92億3000万円(同19.7%増)である。販売費及び一般管理費はほぼ前年同期と同額であり、売上高の伸長がそのまま営業利益の伸びにつながったとみられる。1年前は新型コロナウイルス感染症の対応に戸惑うことも多かったが、その経験をもとに対策を講じることができたという見方もできる。
マクドナルドの好調を支えているのが、非接触の仕組みであるモバイルオーダーとデリバリー手段の多様化ではないだろうか。特に自社デリバリーに加え、業界大手の出前館とウーバーイーツをはじめとする他社デリバリーの組み合わせが功を奏している。商品お渡し口の案内表示にデリバリーの番号を見かけることは、ほぼ日常になっている印象だ。特に週末の朝から午前中の時間帯は、どのデリバリーツールも忙しく稼働している。
では、マクドナルドに死角はあるのだろうか?
筆者は2つあると考えている。マクドナルドが2021年に注力する取り組みとして掲げる「ピープル」「メニュー・バリュー」「店舗展開」「デジタル・デリバリー・ドライブスルー」のなかで、メニュー・バリューが1つ目の課題。2つ目はSDGsに関連するプラスチック容器の取り扱いに関してである。ひとつずつ解説してみよう。
待ち望まれるポテト専用容器
1つ目の課題であるメニュー・バリューは、ずばり商品の品質だ。ゴールデンウイーク期間中は増え続けるデリバリーに対応するためか、例えば有楽町界隈では事業系ビルに同居する2店舗を閉めて、商業テナントにある1店舗体制で営業していた。店舗閉鎖は人員配置を再構築するには最適な経営戦略だ。3店舗分の顧客が営業しているひとつの店舗に来店が集中することから、銀座INZ店は(顧客自身が適度な距離を意識して保ちながら)ほぼ満席に近い状態が続いている。
話はそれるが、ドミナントを業績不振の理由としたものの、近隣の店舗を閉鎖しても顧客が増えなかったステーキ店とは大きな違いではないだろうか。同ステーキ店の不振は店舗戦略ではなく、(会社は認めていないが)行く価値のない店舗であった、というのが大きな理由である。
さて、モバイルオーダーやテーブルデリバリーなどの非接触アプリは、コロナ禍対策を追い風にして飛躍的に認知が進み、利用する顧客も増えている。モバイルオーダーが増えることにより、受注カウンターの人員をお渡しカウンターなどに配置することができるため、人員の効率的な配置から見ても、スタッフにとってもよい仕組みだと考えられる。