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なぜオーケーとH2Oの間で「関西スーパー」争奪戦勃発?三菱商事ら多様な利害関係者からむ

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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関西スーパーマーケット(「Wikipedia」より)

 大阪府や兵庫県を地盤とする中堅スーパーの運営会社である関西スーパーマーケット(関西スーパー)をめぐって、大手百貨店と食品スーパーの運営企業による争奪戦が鮮明化しはじめた。

 事の発端は2016年にさかのぼる。同年9月、首都圏を地盤にスーパー「OK」を運営するオーケーが大量保有報告書を関東財務局に提出し、関西スーパーの発行済み株式の5.60%を取得したことが明らかになった。同年10月に関西スーパーはエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)との資本業務提携を発表した。

 オーケーは関西スーパーを傘下に収めたい。関西スーパーは自社の事業運営体制を維持したい。そのために関西スーパーは自社の考えをサポートしてくれる“白馬の騎士=ホワイトナイト”を探し、H2Oが救いの手を差し伸べた。これが争奪戦の構図だ。食品スーパー事業の強化を重視するH2Oにとっても、関西スーパーとの経営統合の意義は大きい。

 関西スーパーをめぐる争奪戦には、総合商社など多様な利害関係者の意向が影響する。目先は、関西スーパーとH2Oが、どのようにして利害関係者の賛同を獲得するかが注目点だ。

関西スーパーを傘下に入れたいオーケー

 関西スーパーは、生鮮食品など食料品の販売を中心にスーパーマーケット事業を展開している。出店地域は大阪と兵庫が中心であり、奈良県にも店舗を持つ。H2Oとオーケー以外の株主構成を見ると、取引先持株会や自社による保有、従業員持ち株会などが上位の株主に並ぶ。

 2016年、オーケーは関西スーパーの株式を取得し、同年9月の時点で取引先持ち株会に次ぐ第2位の株主に浮上した。大量保有報告書に記載された保有目的は「重要提案行為等を行うこと」と明記された。当初からオーケーは関西ストアを傘下に収めることを目指していた。

 オーケーは関東にて低価格戦略を強化して出店を増やし、売上高は増加している。その背景には、オーケーが消費者の好みに耳を傾け、低価格でより良い品物を販売することに注力してきたことがある。具体的な低価格戦略の手法として、同社は業界の2番手企業からの大量仕入れによって価格交渉を優位に進める。また、弁当のケースの種類を絞り、大量に仕入れることによって原価を引き下げる。オーケーの店舗に行くと飲料が段ボールで積み上げられ、冷蔵せずに販売されている。それもコストの削減に寄与する。そうしたノウハウは、すでに独自の販売方法を確立した他のスーパーが模倣することは困難だ。オーケーはこれまで進出してこなかった関西地方に進出し、シナジー効果の発現によってさらなる成長を目指したい。それが2021年6月9日に同社が関西スーパーに買収を提案した理由だ。

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