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M&Aアドバイザリー国内最大手・GCAは、なぜ他社から買収される側になったのか?

文=編集部
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GCAのIRニュースより

 スカイマーク会長を務めた佐山展生氏らが創業した、M&A(合併・買収)アドバイザリー会社で国内最大手のGCA(東証1部上場)が、米独立系投資銀行フーリハン・ローキーが実施するTOB(株式公開買い付け)に賛同した。フーリハン・ローキーは8月4日、GCAに対してTOBを開始した。買い付け価格は1株1380円。TOB公表前日の終値1051円に31.3%のプレミアムを付けた。全株式を取得する完全子会社化を目指している。買収代金は最大681億円で、GCAの純資産額の約3倍に相当する。

 GCAの渡辺章博代表取締役ら社外取締役を除く9人の取締役全員が保有する株式をTOBに応募する契約を交わした。買付期間は9月27日まで。TOB成立後、GCAは上場廃止となる。GCAとフーリハンはともに大手の金融機関に属さない独立系のM&A助言会社である。小回りがきき、中小型案件を積み重ねていくところに特徴がある。

 金融機関系の大手は数千億円から1兆円規模の大型のM&A案件を狙うが、GCAは数十億円から数百億円台前半というものが多い。2020年の米国のM&A助言件数で首位のフーリハンは中小案件を数多く扱ってきた。

フーリハンは一時、オリックスの傘下

 GCA自身も積極的に海外M&Aに取り組み、08年、米国の有力M&A助言会社サヴィアンを買収して北米市場に基盤を築いた。最近では16年に英国のM&Aコンサルティング会社、20年には同じく英国のM&A助言会社を買収し、欧州の拠点網を手に入れた。この結果、米欧、アジアに25拠点(うち国内は5拠点)を構えるまでになった。

 GCAの21年12月期第2四半期(21年1~6月期)決算(国際会計基準)は売上収益が前年同期比3倍の186億円、営業利益は26億円の黒字(前年同期は8700万円の赤字)、純利益は19億円の黒字(同1億4300万円の赤字)に黒字転換した。アドバイザリー部門の売上高は日本/アジアが44億円、米国34億円、欧州103億円で欧州が主力である。これはM&Aの成果といっていい。

 ところが今回、攻守が入れ替わり、GCAが買収される側に回った。「日本企業が海外で、もっと有益なM&Aができるよう、大きな付加価値を提供したい」。GCAの渡辺代表はフーリハンの傘下入りを決めた理由をこう語った。

 日本の中堅企業が海外でM&Aをしようにも相手探しに苦労するのが実情だ。海外の情報網を持つ大手の投資銀行は大型案件につながりそうな大手企業には足繁く営業に通うが、中堅以下はデール(取り扱い)金額が小さいこともあって、目配りできていない。GCAがフーリハンの顧客情報を生かすことができるようになれば、日本の中堅企業のM&Aの捜索網が全米全土に広がることにもなる。

 フーリハンは、これまでも日本企業と関係が深かった。1972年、独立系の投資銀行として設立されたが、2006年、オリックスが買収した。15年、フーリハンがニューヨーク証券取引所に上場する際、オリックスが株式を一部売却し、オリックスの連結子会社から外れた経緯がある。19年、オリックスは残り保有株式を売却し、関係は切れた。

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