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レクサス「NX」、初のPHEV投入の真意…盲目的なEV化に一石投じる開発姿勢

文=木下隆之/レーシングドライバー
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新型レクサス「NX」
レクサス新型「NX」

 レクサスの新型「NX」が誕生した。すでにスタイルやインテリアは発表されており、キープコンセプトながら革新的なオーラを発散させていることは、すでに本連載でも確認済みだが、今回認可が下り、試乗が許されたのである。

 新型NXはこれまで通り、豊富なパワーユニットをラインナップする。直列4気筒を基本に、2.5リッターのNAと2.4リッターターボ、2.5リッターハイブリッド、そして新たに加わったレクサスとしては初のPHEV(プラグインハイブリッド)。FFとAWDの設定もあり(PHEVとターボはAWDのみの設定)、ついに6種類のバリエーションを誇るに至ったのだ。最大のトピックは、PHEV仕様となる「450h+」の投入だろう。

新型レクサス「NX」

 だが、それがレクサスのEV化邁進の現れだと考えるのは早計だ。世界はカーボンニュートラルに突き進んでおり、レクサスも同様に2019年に次世代電動化戦略「レクサス・エレクトリファイ」を発表してCO2削減に舵を切っているものの、全方位的にパワーユニットの可能性を残している。それはNXを豊富なラインナップ展開としていることからも想像できる。

新型レクサス「NX」

 内燃機関の環境性能を鍛え上げることにも手を抜かず、それでいて電動化技術的の研鑚にも淀みがない。それでいて、レクサスが得意とするハイブリッド技術にも磨きをかけた形である。盲目的なEV化には否定的な立場なのだ。現状ではPHEVが理想的だとしているに違いない。筆者も同様の考え方である。PHEVの投入は、そのひとつなのである。

 総電力量18.1kWhの大容量バッテリーを搭載し、満充電からのEV走行距離は88kmに達する。自宅の急速充電で電力を満たせば、日常生活での移動ならば走行中に一切のCO2を排出せずにすみそうだ。その一方で、長距離移動では搭載する内燃機関での走行が可能なばかりか、バッテリーに電力を蓄えることも可能。急速充電器の普及が遅れている日本での利便性は高い。あるいは化石燃料依存度の高い日本では、EVが環境性能の解決策とはならない。EV走行と内燃機関での走行を併用するPHEVが主力になりそうなことの主張であろう。

新型レクサス「NX」

 その証明になるのかもしれないが、PHEVとはいえ環境性能だけを追い求めたわけではない。クルマとしての基本性能を磨き上げることに力点を置いている。ボディ剛性を徹底的に高めているのが特徴だ。ボディ剛性の高さで定評のあるドイツ車なみの補強技術を盛り込んでいる。大容量バッテリーを床下に低く広く薄く搭載することで、低重心感覚が強く、一際重厚感の高い走行フィーリングを得ているのだ。

 加速フィールも頼もしい。低回転域からの力強さは抜きん出ており、市街地での流れを軽々とリードする。それでいて、すっきりと深みのあるステア特性が魅力的だ。環境性能を高めていながらも、高級車であることの誇りを失っていない。むしろ、クルマとしての質感を最優先に開発している。

 話題の中心であるPHEVは、確かに環境に優しい。だが、クルマとしての本質を見誤ってはいない。走りの質感を最優先に開発されたモデルである。

(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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